ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『となり町戦争』をヒューマントラストシネマ渋谷1で観て、原田知世が良い演技するんだよなあ★★★


▲ボリビアの麻薬ディーラーっぽい服だな江口洋介。

五つ星評価で【★★★原田知世が凄い。江口洋介が若い。岩松了は岩松了で瑛太も瑛太】
「原田知世映画祭」という、とてもそそる企画にて、見逃してた1本をキャッチ。
2006年、10年前の映画。
江口洋介がまだ長髪で、「よきサラリーマン上司」側ではなく「少し棘のある若者」側。別に演技メソッドとか変わってないだろうけど、長髪のサラリーマンという役柄であるだけで、役者としてとても青く感じる。きっとこれは岩松了がモジャモジャのアフロだったら同じように「否応なしに昔で若いんだ」と感じる感覚だろう。もう、この頃の江口洋介は今の江口洋介では再現できない。もしかしたらとても上手く再現できるかもしれないが、それでもそれはやはり「再現された物」なのだ。
岩松了は今とほとんど変わらない。今の初老よりは中年真っ盛りといったところか。得体が知れないのに普通で、狂っているのに人生の指南役という難役をマイペースで演じている。幾つも引き出しがあるというより役を自分に合わせてしまう。サイドにいる限り、岩松了って何でも収納できる抜群の引き出しだと思う。
瑛太も10年前だと若い。最近、ヒゲとか生やしてヤングだけど年長っぽさをアピールしてるが、ここでは生粋のヤング役。原田知世の弟役で、戦争制度には反対だが兵士に志願する若者を演じる。
そして、原田知世がいい。
戦争を事業として推進する町役場の公務員という役をコチコチに言葉で武装して演じている。武器や弾薬は携帯しないが、彼女自身が戦争の核であり、プレイヤーである。彼女は戦争に選ばれており、彼女の意思とは別に戦争から逃げられない。とても異常な役を生真面目に演じる原田知世がいい。日本のあちこちにいるだろうな、いただろうなと匂わせる役。

自分の知らないところで始まっている戦争、そして自分が知らないだけで着々と戦死者を生んでいる戦争というのは、10年前よりとても「今」であるように感じる。まさに今、「となり町」が「日本」にシフトして現実化している。とても怖い。
戦争と言う枠組みは、その枠にはめられたら、役所仕事のようにもう後は遂行するしかないスケジュールを立てられてしまう。反論や反抗も「既定」を乗り越える事は出来ずにただただ先に進められてしまう。最初から「立ち止まる」という選択肢が用意されていない。おそらく誰もがコントロールできずにただただ流されてしまう。戦争そのものが最大の「アンチモラル」なのだから、人はそれを「モラル」では矯正できないのだろう。「モラル」で矯正できるのなら、戦争は始まらないでいれる筈だ。だから、始まった戦争はもう止められないのではないか。この映画では為政者が落とし所を勘ぐりながら戦争を終結させていくが、実際の戦争では戦争を起こして、その戦争をコントロールしようとしている者が、戦争中に(戦争自身によるか否かは問わず)生きている保証はない。それこそが戦争が止められない理由なのではないか。

とても変な映画だし、演出的に大袈裟で「あそこはイヤだなあ」みたいに思う部分もあるのだが、それでもスリリングにとても面白かった。


【銭】
映画祭特別価格で1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
となり町戦争@ぴあ映画生活
スポンサーサイト

コメント

こんにちは

見えない戦争、というのが実に怖い映画でしたね
自分の知らない間に戦死者がでてたりして、
本当に戦争やってるの?と疑問に思うのも仕方ない演出など。
ふじきさんのいうとおり、
役所仕事のような淡々とした部分がシュールに感じちゃうんだけど、公開当時よりもいまの日本情勢のほうがこの作品にあっていると私も思います。

  • 2017/08/12(土) 16:02:34 |
  • URL |
  • maki #jQTfdwCM
  • [ 編集 ]

Re: こんにちは

こんちは、makiさん。
目の前で繰り広げられないけど着々と進んでいるという作りが本当くさかったですね。

  • 2017/08/13(日) 01:43:23 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://fjk78dead.blog.fc2.com/tb.php/5193-b8cad59f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad