ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『スイス・アーミー・マン』『亜人』『あさひなぐ』『ダンケルク』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

またぞろ感想UPを5本終わらそうという目的のレビュー
ちょっと困った縛り。巻くぞ。

◆『スイス・アーミー・マン』東宝シネマズシャンテ2

▲「はいよー、しるばー」

五つ星評価で【★★いい話にしない方が好み】
ダニエル・ラドクリフが全編死体の役、というのに惹かれて行った。
まあ、死体なんだけど話すんだよな。
今時はゾンビだって話す亜種がいるけど、
ダニエルのはキチガイのロンリー・ボーイが
「死体が話してくれたらステキ」が高じた上での妄想なんである。
ちょっとガッカリ。
せっかくなので、ただの死体(物体)だけどチャーミング
みたいなラインで見たかった。
そら、そんなの相方側の芝居も大変だけど。
タイトルの「スイス・アーミー」は「スイス製ナイフ」で、
スイスの十徳ナイフ(多用途汎用ナイフ)は有名らしい。
ならば、死体の性能がもっといっぱいあってほしかった。
基本オナラばかりで大した機能がないと思う。
あと、こんな只の与太話を「いい話風」に仕上げようとしたのは
どっちかって言うとダメ人間側だからか、ちょっとやだった。


◆『亜人』ユナイテッドシネマ豊洲10

▲アクションで評判が良い川栄李奈さん。

五つ星評価で【★★アクションはともかくとして】
ユナイテッド豊洲オーシャンビュー大画面、平日18:30の回はちょっと時間が早かったからか10人入ってなかった。この後のレイト時間はもっときつかろう。終末ランキングは動員1位だったがちょっと惨憺たる入りだ。でも、その入りに応えるかのように作品の出来もそう良くない。
この実写化の前に三部作で作られた出来の良いアニメがあり、実写化はこれがお手本になる訳なのだが、尺が違うとは言え、かなり劣化が激しい。実写化の売りは人間が実際に演技する事でリアルを得るアクション。それはいいし、単品でそれだけ掬い上げると決して出来は悪くない。ただ、そのアクションを成立させるための世界観の説明がともかく下手だ。「亜人」という存在や、その亜人を取り巻く人間の気持ちや行動が絵空事にしか見えない。
原典が持ってる「亜人捕獲に協力したら1億円」というデマ、亜人差別感みたいなのを強調するセリフ、米国が国をあげて亜人研究に取り組んでおりIBMも科学的根拠がある物として理由は不明であるが説明されている事、この辺りの物語の嘘と現実を埋める設定がないがしろにされている。だから、この物語の「亜人」は「魔法使い」と言葉を置き換えてもそんなに違和感がない。「魔法使い」なら黒い巨人の召し使いとかいてもおかしくないし。
個人的に残念なのは佐藤健が演じていたからなのか主人公がクズという設定がなくなっていた事。佐藤や田中のメンタルと合わせて永井圭のメンタルが「人間らしくない」ところが、亜人の面白さでもあるのだから。

綾野剛はいい役作りをしている。
佐藤健は原作とは設定変えてるからあんなもんだろ。
下村泉の川栄李奈もいいコピーをしてる。アクション激しいな。
城田優は国内二体目の亜人「高橋」。高橋あんな美形になって(笑)
千葉雄大の役は車椅子の亜人「奥山」圧倒的な説明不足。
浜辺美波は今回は普通。
アクションするIBMは嬉しいんだけど、果てしなく説得力がない。アニメだとCGっぽい動きが人間のアニメキャラから浮かび上がるのでリアルになのだけど、実写だとCG丸出しのIBMと比較されるのが実物の人間なので、どう見てもIBMの方が嘘にしか見えない。


◆『ダンケルク』ユナイテッドシネマ豊洲10

▲綾瀬はるかに走ってもらいたかった。

五つ星評価で【★★ノーランさんはそんなに】
がんばるぞー。死なんぞー。生き残るぞー。
基本、そういう局面だけの映画。
どーせ、人が死ぬのなら、もっとベタな死を見たいのかもしれない。
大量に「死ぬ」という事は一つ一つの死(又は生)の意味を奪う事だ、
という逆目かもしれないが、どちらかと言うと私は
絵(情景)としての映画より、話(物語)としての映画の方が好きなのだろう。
陸・海・空の救助が一点で交わる瞬間はそれは美的には
そそるかもしれないが、やはり単にカンバスの上の構成にすぎない。


◆『あさひなぐ』ヒューマントラストシネマ渋谷1

▲可憐。だがそれだけでは不足だ。

五つ星評価で【★★原作読者なので】
映画化に際して、主要メンバーを乃木坂46で揃えようという事になったのが、そもそも誤りなのだと思う。いや、彼女たち自身は最大限に努力をしているのかもしれないが、起用した事によりゆるい仕上がりになってしまったのは事実だろう。
原作の一巻から二巻の入部から三年引退試合、國陵との練習試合、四巻の夏合宿を取り込んで再構成した脚本のベースラインは悪くないと思う。
限られたメンツから割りと似た人達を選ぶ事により成立しているキャスティングなのだが、演技その物は特に「こいつのせいで!」みたいなドベタな演者はいなかった。だが、しかし、みんなそれぞれ原作と少しずつニュアンスが違う。いや、そこは乃木坂に合わせるのではなく、マンガに合わせていこうよ。

主人公の旭は西野七瀬。かーいらしい。かーいらしいのとあまり小さく見えないのが問題だ。彼女は連れてこられてやってるだけなのだから(当然なぎなたは吹替えが付くと思ってたと言うインタビューが如実にそんな感じ)、出来ないのなら演出側がサポートすべきだ。小さく見えるように撮ってやれよ。小さく見えるように演技して成功するプロの役者とかもいるけどレベルが違うんだから。問題はも一つ。かーいらしいこと。原作の旭は「ぶざま」なのである。でも、ブザマでも何でもやって、進んで、乗り越えていく。そこに旭らしさがある。西野七瀬は弱くてできないなりに努力してという形は出来ている。でも、それは圧倒的に軽い。それは彼女がアイドルとして「出来てきた」人だからかもしれない。
旭の同輩、紺野さくら。松村沙友理。この子は逆にノッポで金持ちで実は腹黒という役なのだが、あまり長身でもなく、ただニコニコ笑ってるブリッコになってしまった。
旭の同輩、八十村将子。桜井玲香。この子は中肉中背、ヤンキールックスで鼻柱が強い。見た目は違うが原作とのギャップは小さい。ただ、同輩二人は旭との対比に使われなければならないのに出番が少なく、内面にまでは入り込めなかった。
二年の三人もそうだが事実を淡々と描くだけで内面がない。
ようはみなキャラが立っていないか、キャラがゆるまっているのだ。
集団ドラマで、これで面白くなる訳がない。
このキャラを見た目くらいでしか選別しない事で一番損をしているのが
生田絵梨花の一堂寧々。彼女には彼女の怒りの理由があるのに
一切何も触れなかったので単にいつも不機嫌な
「あの子、生理なのかしら」みたいなキャラみたいになってしまった。

あと、なぎなたの試合パートが長いが、撮り方が引いて撮っていて平坦。
演者も観客も素人なので、なぎなたの腕の良し悪しは分からない。
だが、それは分かるように描くべきではないか。
そして、勝つべき人が勝った時は
とても気持ち良くなるように撮るべきではないか。
伴奏もずっと同じものが鳴りっぱなしでメリハリなかった。
対戦者がどちらが味方なのか分かるような配慮もなかったし。

なんかないない尽くしで表面だけ似せて作った気がしてならない。

あ、尼さんの江口のりこだけはよかった。
何かそこにいる事に必然性があって、マンガともぶれない強いキャラだった。


◆『ナミヤ雑貨店の奇蹟』ユナイテッドシネマ豊洲4

▲「愛人にならないか」という悩みの尾野真千子。おまえら愛人になった事もないのに杓子定規に愛人否定しちゃあかんのではないか?と思いつつも、とても定番な回答に着地する。

五つ星評価で【★えーと】
何でだろ。何でだか分かんないけど無性につまんなかった。
あっ、久しぶりに山下リオちゃん見れたのはよかった。そんだけ。
ナミヤは悩み(783)に通じる。そしてこの783に警察(110)事が
加わるとヤクザ(893)になるんだよ、バカヤロ、コノヤロー

そうだ。子役の演技が凄かった。


【銭】
『スイス・アーミー・マン』:映画ファン感謝デーで1100円。
『亜人』:ユナイテッドシネマメンバーポイント2ポイント使用で1000円。
『あさひなぐ』:ヒューマントラストシネマ渋谷水曜割引で1100円。
『ダンケルク』:ユナイテッドシネマ金曜メンバー割引で1000円。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』:ユナイテッドシネマ金曜メンバー割引で1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
スイス・アーミー・マン@ぴあ映画生活
亜人@ぴあ映画生活
あさひなぐ@ぴあ映画生活
ダンケルク@ぴあ映画生活
ナミヤ雑貨店の奇蹟@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
スイス・アーミー・マン@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
亜人@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
亜人@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
ダンケルク@いやいやえん
ナミヤ雑貨店の奇蹟@映画的・絵画的・音楽的
ナミヤ雑貨店の奇蹟@タケヤと愉快な仲間達
ナミヤ雑貨店の奇蹟@☆映画ライター渡まち子の映画評
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コメント

お早うございます。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』ですが、「783(悩み)+110(警察)=893(ヤクザ)」という算式には驚きました!
何しろ、本作にあっては、冒頭で「ナミヤ→悩み」ということが示されますし、ラストで「警察」が登場しますし、尾野真千子の邸宅に盗みに入る3人の青年は「ヤクザ者」でしょうから!
「ふじき78」さんは、エロ事とか恋愛事の大家であるばかりでなく、数学の大家でもあるのですね!

  • 2017/10/10(火) 06:01:39 |
  • URL |
  • クマネズミ #-
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こんにちは

→ダンケルク
確かに、「そんなに」って感じなのでした。
時空点が一つになる瞬間は美であるものの
話自体は逃げてダメで逃げてダメでの繰りかえし
個々のエピソードでよかったのって
船編かなあと。
ノーランさんなので極力CGを使わない方向なのはわかるんだけど、そのせいで迫力が減ってるのも事実なんですよね

  • 2017/10/10(火) 14:55:00 |
  • URL |
  • maki #jQTfdwCM
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Re: タイトルなし

こんちは、クマネズミさん。

> 「ふじき78」さんは、エロ事とか恋愛事の大家であるばかりでなく、数学の大家でもあるのですね!

何でそんなに真剣に褒め殺ししようとするですか?

  • 2017/10/10(火) 22:37:30 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
  • [ 編集 ]

Re: こんにちは

こんちは、makiさん。

なんかそういう風に綺麗に帳尻合わせたいと言うのは監督の病的な資質によるものであって、観客をいかに喜ばすかという視点とは別だと思うのですよ。

  • 2017/10/10(火) 22:39:41 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
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なんで飛行機が少ないのか、さっさと攻めてこないのか、とか考え出すと、本当のダンケルクを描いているのかいな?と疑問でしたし。

  • 2017/10/10(火) 23:14:05 |
  • URL |
  • ボー #0M.lfYJ.
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お早うございます。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のコメントで「ふじき78」さんを「大家」として空高く持ち上げておいてから、『亜人』についてのレビューを大いに貶そうかと思って映画館に行きましたが、こちらも「ふじき78」さんを持ち上げざるを得ません。
本作については、なにしろ「作品の出来もそう良く」ありません。「綾野剛はいい役作りをしている」に尽きるような気がしますし、映画ではほとんど何も説明されませんから、「「亜人」は「魔法使い」と言葉を置き換えてもそんなに違和感がない」ように思えますし、そうであればIBMは「黒い巨人の召し使い」となるでしょう。
ただ、問題点を挙げるとしたら、原作漫画の第1巻を覗いただけで言うのはどうかと思いますが、その限りでは、「永井圭のメンタル」は十分に“人間らしい”ように見えました。というのも、“「亜人」は人間なのか”というのがこの原作のテーマの一つと思えるところ、主人公の圭がそれについてメンタルで懊悩する様子をいかにも“人間らしく”描くことによって、このテーマを強調しているように思えたからですが。
そして、酷くつまらないことながら、「城田優は国内二体目の亜人」ながら、その名前は「高橋」ではなく「田中」です(原作も映画も)。

  • 2017/10/11(水) 05:29:15 |
  • URL |
  • クマネズミ #-
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Re: タイトルなし

こんちは、ボーさん。

最後の方、よ~く凝視してると独楽が回ってるのです(まことしやかな嘘)。

  • 2017/10/11(水) 22:33:53 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

こんちは、クマネズミさん。
永井圭は自分を助けてくれた友人を切り捨てるとか、常識的に主人公がやってはいけない事をいくつか踏んでて、亜人の特徴はもしかしたら通常の人間の感性を持っていない事なのかというミス・リードもさせられたので、その辺を省かれるのはドラマとしての深みを埋められちゃう気がしてイヤでしたね。


> そして、酷くつまらないことながら、「城田優は国内二体目の亜人」ながら、その名前は「高橋」ではなく「田中」です(原作も映画も)。

たたたた「た」が一緒だからいいじゃないか!

  • 2017/10/11(水) 22:41:43 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
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こんにちは

「スイス・アーミー・マン」は死体が話すというファンタジーかなんかですか? 笑
ダニエルくんの死体役はなかなかでした。
おならで始まりおならで終ったという...なんとも

「亜人」は原作もアニメも見たことがないのですが楽しめました。説明不足な所もありましたがアクション中心なんで、ながながと説明されるよはマシかと。

  • 2017/10/12(木) 14:38:23 |
  • URL |
  • yukarin #-
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Re: こんにちは

こんちは、yukarinさん。

「スイス・アーミー・マン」がドキュメンタリー大作だったら笑う。

> 「亜人」は原作もアニメも見たことがないのですが楽しめました。説明不足な所もありましたがアクション中心なんで、ながながと説明されるよはマシかと。

説明欲しかったざます。

  • 2017/10/12(木) 23:32:26 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
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採点辛いですね

こんにちは。TBありがとうございます。
「スイス・アーミー・マン」
>死体の性能がもっといっぱいあってほしかった。
基本オナラばかりで大した機能がないと思う。
オナラ噴射の水上走行以外にも、次のような機能がありましたよ。
②ガスで火炎放射器能 ③口からガス使って弾丸発射 ④死後硬直を利用して腕で丸太へし折り ⑤歯でヒゲ剃り ⑥同じく歯をカッターとして利用⑦口から水出して水筒代わり ⑧同じく口からの水でシャワー ⑨寂しい時の話相手 等々
あと一つ何かあったが思い出せん。

「ダンケルク」
私はIMAXシアターで見たのでドーンと評価上がりました。普通の2Dで見たら星2くらいになるかもですね。そもそもスクリーンサイズ全く違いますから。
ベストテン選考する時は、「ダンケルクIMAX版」「ダンケルク一般上映版」と別々に採点する事も認めて欲しいですね。

  • 2017/10/15(日) 14:37:01 |
  • URL |
  • Kei #BxQFZbuQ
  • [ 編集 ]

Re: 採点辛いですね

こんちは、Keiさん。

「スイス・アーミー・マン」
性能に関しては②③はオナラの応用だし、④⑤⑥、⑦⑧もそれぞれ一括りにしてもおかしくない物なので、あまり多種多様には見えなかったです。

「ダンケルク」
うーん、劇場選ぶんですかねえ? それは見世物興行としての映画としては大変正しいのだけど、個人的にはイヤだな。ケチだからかな。

  • 2017/10/16(月) 00:19:20 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
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