◆『1000年女王』
五つ星評価で【★★珍品】
初見。
実際、物語は破綻してると思う。
文明を監視、先導する「1000年女王」が実は異星人であり、母星の命令に背き地球人を守ろうとするというアウトラインはそんなもんだろうという感じだが、ディテールがメチャクチャ。
(1) 雪野弥生こと1000年女王は大きく分けて衣装が違うだけ。詳細に見比べてないがメイクすら違わないと思う。それなのに誰も同一人物と疑わない。鉄郎もどきよ疑えよ。お前がそんなだとラーメタル星の奴らが「猿と共存生活できない」と言ってた事を認める事になるぞ。アニメ表現上では分からなかったが、デーモン小暮張りのメイクをしてると言うなら話は別だが。
(2) 宇宙船が変。関東平野がそのまま巨大な宇宙船だった事になっているが、戦いが終わると元の大地に戻る。そもそも宇宙船として空を飛ぶ必要があったのか? 敵ラーメタル人の高貴な人たちが住んでいる宮殿も宇宙船化して「宮殿船」と言われている。これも特に居住区の宮殿周辺を壊しながら宇宙船化する必要は全く感じられない。乗る必要のある人が宮殿から宇宙船に移ればいいだけである。 1000年女王の戦艦施設内(多分)に歴代1000年女王が弔われている。その旧1000年女王達が自分達のアイデンティティの発露として自分達専用の戦艦を飛ばすのだが、最終的にボコボコ特攻していく。いいんか、それ?道義的にも?
(3) 雪野弥生の妹が1000年盗賊と言われていたが、1000年女王の部下なのか、反組織なのかもよく分からなかった。普段、何してるんだう? TV版ではそれなりに暗躍してたらしいが、映画版では出てきた途端、間に挟まれてやられキャラである。
(4) 1000年女王が現われたデッキみたいな所はおそらく天文学観測施設なのだが、いつの間にかブリッジみたいになってる。そもそも関東平野をどこで誰が操縦してたのかよく分からない。天文学研究所の所員とかが動かしてたのか?
(5) 鉄郎もどきが歴史博物館に行って武器をGET。ギリ銃までは許していいけど、戦車を収集してる博物館(しかも武器として使用可能)はヤバいな。
(6) あまりにも彼我の戦力差がありすぎてラーメタル側が戦えなくなってしまうのは皮肉で面白いがリアルではない。確かに光線銃で戦う相手にとって竹槍とか突き出されたらエポック・メイキングかもしれんが。
(7) 劇中ラストであるセレモニーが行われ、映画は終了になるのだが、よく考えたら地球とラーメタルの運命がどうなるかはよく分からなかった。移住するのか、追放するのか。次の千年、何がどうなるのか?
(8) 劇中、関東平野にいた現地人がラーメタル星人と戦ってレジスタンスのように美化されるのだが、その多くて100人くらいの人間が人類50億を背負って戦ってたのか? 人類、他にも助け寄越してやれよ。
(9) 最終的に圧倒的な戦力差を埋めるのは痴話喧嘩である。
こんなかしら?
冒頭、松本美女が眠る寝室。ベットに何のお守りなのか、松本メーターがくっ付いている。
映画内の松本メーターは割と淡泊。あまり気持ちが籠った描かれ方をしていない。
1000年女王、脱ぐ必要がないのに、全裸に剥かれて脱がされる。
ちなみにパイパンである。
歴史博物館で戦う連中の中に松本零士がいる。
歴史博物館で戦う連中の中にジャイアンツのユニホームで背番号1の男がいる。
◆『わが青春のアルカディア』
五つ星評価で【★長いよお】
こっちは公開時に見てて2回目。公開時も面白いとは思わなかったが。
大過去、中過去、現在の構成を持つ。
冒頭、大過去の飛行機乗りハーロックの声を演じるのは石原裕次郎。裕次郎そのままの声なのでアニメに合うかと言われれば合わない。ラジオの朗読番組に絵が付いたような状態。
中過去は第二次世界大戦中のハーロックとトチローの因縁譚。遺伝子から先祖の記憶を探る機械が出てくる。『アサシン・クリード』かよ。
現在は『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』のパート0にあたる物語。この部分が長くてタルい。三つの構成合わせて130分は長いよ、やっぱ。
食うや食わずやは置いといて、たった一人で宇宙船を手作りしてしまう男は異能すぎる。
小松原一男の作画は最高レベル。
松本メーターもかっこいい。魂が籠っている。
【銭】
通常二本立てて興行価格1500円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・1000年女王@ぴあ映画生活
・わが青春のアルカディア@ぴあ映画生活
PS ナドレックさんのコメントで指摘されたので
「千年女王」は全て「1000年女王」に差し替えました。
PCのタイピングが「ぬわわわ女王」だったのが
ちょっとおもろかった。
PS2 そう言えばツイッターで贔屓目に見れば
『サイレント・ランニング』と似てるかもと擁護したなあ。
為政者によって派遣された技術者が派遣先を破壊しろと
為政者に迫られて反撃みたいなアウトラインだけが似てる。
PS3 今回の二本立ては映画は両方つまらないのだが、
見て損したとは思えない。まあ、映画は映画だけでもないし、
出来不出来だけでもないよ。勿論、面白いに越した事はないのだけど。