ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『伊藤くんA to E(ネタバレあり)』『フルメタル・パニック! ワン・ナイト・スタンド』

2018年1月17日、18日に見た各1本をまとめてレビュー。

『伊藤くんA to E』トーホーシネマズ錦糸町1

▲いたお。

ネタバレ前提の感想です。

五つ星評価で【★★★えーと、そこからやり直さなくてはいけないの?】
好きな女優さんが何人か出てるから見に行った。
話を語る主役は木村文乃だが、その話の中心を占めるのは岡田将生。

①木村文乃:語る女 毒女
②岡田将生:語られる男 超モンスター級痛男
③佐々木希:語られる女A 都合のいい女=求愛系
④志田未来:語られる女B 自己防衛女=言い訳女
⑤池田エライザ:語られる女C 愛されたい女=優しいサセ子
⑥夏帆:語られる女D ヘビー級処女=丸投げ女
⑦田中圭:ドラマP
⑧中村倫也:脚本家

①が②~⑥の関連性を操作しながら脚本に書こうとする。⑦⑧は脇。
①は③~⑥の女性をさげずみ見くびっているが、①の本質は彼女たちのようなブザマさの中にこそある。
②はその「ぶざまである事」の対立概念でもある。
③は②に必死に求愛するが②は応えない。②には人と深くつきあえるスキルがない。①は③にとって②が何であるかを明確にさせる。
②は④に求愛するが、④は②を嫌っている。②と④は中身が虚ろである所が似ている。似ているからこそ②は④を追い、④は②を直視できない。②は虚ろに対してポジティブであり、④はネガティブである。④は②を見ながら、現状からの脱出を考える。
⑤と⑥は友人同士であり、⑥の②への初恋を⑤がサポートしている。①の⑤と⑥への関心は⑤が⑥を裏切って②に手を出すかどうかにだけある。①は⑤と⑥をそういう関係に見過ぎている傾向がある。それは①が⑦との関係を持っていたにも関わらず⑦は自分の知らないところで他人との婚儀を進めていたトラウマがあり、男女関係その物に対する信頼が薄い。もしくは、男女関係の信頼に根深い怨みを持っているからに違いない。①は自分と同じように、信じている者は必ず裏切られ、捨てられなければならない、と心の底で願っている。
②は⑤も⑥も捌くスキルがないので、二人の関係から除外される。⑥は正しい相手に会え、⑤と⑥の仲は自然に戻る。

②は③~⑥に対して最終的に相手に踏み込まないし、踏み込ませない。③に対しては拒絶するし、④からは拒絶される。初心者の⑥をバカにしつつ⑤からは見下される。そして⑤から見下されている事すら圧倒的なスキル不足の前に気が付かない。つまり、②はスマートではあるが、誰に対しても人の立場で物を見る事が出来ない「優しくない」男子なのだ。これは「孤高」にも見えるので、王子様っぽく見えるかもしれない。

②は①に主張する。「勝つ気はない。だからリングにも上らない」
観客は唖然とする。そんなところからなのかよ、と。
もう「勝負より勝負に挑んだ事の方が大事だ」という不文律は通していいんじゃないの? また、そこから議論し直すの? だって、これは散々他の小説や物語でやってきただろう。これを見つめ直すという事は主人公が勝ち切らない全ての物語を否定するという事になる。例えば『あしたのジョー』とか。

②が①に対して、そう主張した事により、①を攪乱させる事は構わないのだが、物語の本質は①が、そういう主義主張を持っているという事ではない気がする。②は④との関係性の中、リングに立つようにも見えたし、⑤や⑥とゆっくりゆっくり成長するのなら、そのうち二人のどちらかとリングに立つという事もあったかもしれない。

②は単に四つ股をしても心が痛まないモンスターとして描かれたかっただけで、だからこそ変なメンタリティーを纏わされてしまった気がする。こういう事にしておけば③~⑥の女性の心は痛まない。だって、相手が普通じゃなかったから。
だが、しかし、実際四つ股するのは⑦や⑧のタイプである気がする。②はコミュ障タイプ、⑥⑦は密なコミュニケーションが得意なタイプ。物語は口触りを良くする為に、この条件を意図的に外して作られているのではないか?

一番、明確にしなければいけない毒をオブラードでくるんで、くるみすぎて毒だか何だかも分からなくなってしまったみたい、な。これは原作、脚本家とも女性なので、クズ男を一人て押さえて、その一人は爽やかで見栄えも良くして、女子受けできるパッケージにして仕上げたいという考えがあったのではないか?

なので、もっと辛辣なラストシーンを作るならこうなる。

①が⑦に告げる。「もう、こういう事はやめにしなくっちゃね」
⑦「はい、『やめにしました』、いただきました」
部屋の外から⑧と②が入ってくる。
⑦「俺たち終わっちゃって、もうやめにしなくちゃいけないから、やめにし終わり記念でみんなで楽しもう」
②「いやっ!」
⑦「来いよ、伊藤、俺が女を教えてやるよ」

ゲロゲー最低、俺。しかし、①が②に対してリングに登って来いというのは善悪は別としてこういう世界なのだ。
リングを登った者には相手を殴る資格が与えられる。でも、それは自分が殴られる痛みと相殺でなければならない。
それは②だってそうだが、①だって同様だ。彼女がこの③~⑥の彼女たちの相談を受けながら、どれほどの痛みや不様さを引き受けているというのか。大した事はあるまい。彼女が大言を壮語したいなら『ブルックリン最終出口』のトララのように、『好色元禄㊙物語』の千人切りの尼のように自分で身を落とすのが正しいと思う。
という風に書けるのもおかしいか。所詮、「恋愛をして楽しくカップルとして暮らす事」と「脚本を書いてその内容が認められる事」は同一ではない。それを同一であるかのような価値観で描こうとする事が変なのだと思う。違うだろうか?

③佐々木希が凄く何から何まで表情に出て可愛かった。
④は佐津川愛美っぽい役だ。
⑥夏帆ちゃんは役その物すぎて怖い。相変わらずこの人は自分をどう見せるより役の方を膨らませてしまうタイプだから。いいじゃん、もっと可愛くてラブリーな処女を演じても。きちっと相手(観客を含む)が引くような処女を演じるのが凄いな。
⑦⑧は両方中肉中背で似たタイプ。もっと一目で違いが分かるような役者を起用した方がいい。そりゃバカじゃないから凝視してればどっちがどっちだか分からない事はないのだが、そんな事に客の神経を使わせるのは二流だな、と思わせる。


『フルメタル・パニック! ワン・ナイト・スタンド』角川シネマ新宿1

▲赤くてでかいのは敵機。

五つ星評価で【★★期待が強すぎた】
TV第一シーズンの総集編が異常に面白かったので期待しすぎた。
アニメで、学園もので、スパイもので、巨大ロボット・アクションもあるコメディー。
何か豪華っつか節操のない設定だ。この節操のない設定を縦横無尽に使いきった前作は大変、見事で堪能させられた。

今回、今一だったのが敵の設定。敵にも同情すべき点などがあるのは構わないが、やはり主人公側の超法規組織とタメを張る存在とするには全然弱い。とりあえず第三シーズンを編集した映画が来週公開されるらしいので、それを楽しみに待つ事にする。


【銭】
『伊藤くんA to E』:トーホーシネマズ、フリーパス16本目(間インフルエンザにかかった事もあり、今回はこの本数で終了)。
『フルメタル・パニック! ワン・ナイト・スタンド』:テアトル会員更新時の1000円で観れる券を使って鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
伊藤くん A to E@ぴあ映画生活
フルメタル・パニック! ワン・ナイト・スタンド@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
伊藤くん A to E@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
▼関連記事。
フルメタル・パニック! ボーイ・ミーツ・ガール@死屍累々映画日記
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コメント

伊藤くん

こんにちは。
田中圭と中村倫也のその外見を混同されているということに激しく驚きました。
こと程左様に、男女の見るモノの間には大きな川が流れているのだなぁ…と。

  • 2018/01/22(月) 16:24:25 |
  • URL |
  • ここなつ #/qX1gsKM
  • [ 編集 ]

Re: 伊藤くん

こんちは、ここなつさん。

田中圭はともかく、中村倫也は私、何回もエンドロールで名前を見ていながら顔が覚えられない役者の一人なのです。この二人が「似てる」とまで言ってしまうと嘘になると思うのだけど、関心がないので、パッと見で分かるキャスティングにしとけばいいじゃんと思ったのでした。LOVEの伏線があるから、あまり規格外なのをキャスティングは出来ないだろうけど。

  • 2018/01/22(月) 22:05:04 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
  • [ 編集 ]

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伊藤くん A to E

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「伊藤くん A to E」

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