ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』『ブランカとギター弾き』ギンレイホール

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』

▲ちょっと目がいっちゃってない? 猫は猫でそこにはいるけど飼い主に案外無関心に見える。

五つ星評価で【★★甘い】
ズタボロになったギター弾きが猫を拾った事により再起していく。
何か「あめーな」と思って見てた。映画内ではいい事も悪い事も起こるが、回復不能なほど絶望的な事態には陥らない。逆にその絶望的な事態とはドラッグにはまった映画以前の話だったと言えるかもしれない。なので、語り口はそんなに辛辣ではない。常に慢性的なツラさは漂っているものの、地獄のような体験はやって来ない(唯一「薬抜き」と「ボブの失踪」がそれに近いが、これは描く必然性がある部分だし、そこで悲観的に終わるとはとても思えないので、見ていて希望がある)。
で、これが何故そうそう「甘く見えてしまうか」と言えば、この物語が全て主人公の主観に基づいて書かれているからだろう。何となく「悪い事は他人が持ってくる」ケースが多い。自分につらく当たる他人はみな悪人で、神が与えてくれた相棒猫のボブに対してひがんでいる、悪意を持っている。彼が悪事に手を染めたのはドラッグ中毒になった事、これは彼自身が全面的に悪いと納得しているが、それ以外については全て他人が悪いのである。なんか、そんな風に見えてしまう。勿論、人は多面的な生き物なので、彼と諍いを起こした人間もどうしようもないクズであるとは限らない。そういう観点が薄い。大道芸でのトラブルも、ビッグ・イシューのトラブルも、自分が良ければいいが見えすぎる。神がボブを与えたのなら、貧しい者達でもう少しボブの恩恵をシェアしあうとか考えられなかったのだろうか?

本物のボブが映画でずっと演技してるというのは凄いな。
彼はそこにいるだけで、何をするでもないのだけど。
逆にそれだけなのに、お金が稼げてしまうというのは
神が遣わしたと言うよりは悪魔が遣わした下僕ではないかと
思ってしまったりもしたりなんかして。


『ブランカとギター弾き』

▲ブランカ(右)とギター弾き(左)。

五つ星評価で【★★★同じギター芸人の話なのに辛辣度がハイレベル】
「ボブ」に比べると空席が目立つ。と言うより「ボブ」が人気なのだろう。
だから『ブランカという猫とギター弾き』にしたらもっと顕著なヒットをしたかも。

それにしてもこっちの世界は辛辣である。

孤児の主人公は生きていくために違法な事でも躊躇なくやる。
生きる事が大事なのだ。道徳観では生きていけない。
同じような孤児達の中でも暗黙のルールを守らない
彼女は嫌われ者だ。
だが、彼女を責める事は出来ない。そういう世界なのだ。

そんな彼女に初めて優しく接したピーターは盲目のギター弾きだ。彼は子供から巻き上げられたりする。自衛手段のない最下層の中の最下層だ。でも、正しい。

あと、オカマの客を取ってる三人組が優しい。涙の数だけ優しくなれると言うのはおそらくそこそこ本当であろう。

そして、ブランカを売買しようとして、優しく声をかけてくる人買いがいる。
ちょっとゾッとする。中年の彼女が一番環境に適応してる事が分かるからだ。
物腰が柔らかく、普通である事の怖さ。

劣悪な環境の中、世界の最小構成要素であるようなキャラが揃っている事にちょっと感心した。


【銭】
ギンレイホール会員証で入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ボブという名の猫 幸せのハイタッチ@ぴあ映画生活
ブランカとギター弾き@ぴあ映画生活
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://fjk78dead.blog.fc2.com/tb.php/5360-429f5e29
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

ブランカとギター弾き

フィリピンの路上で暮らす孤児の少女ブランカは11歳。 盗みや乞食をして暮らす彼女の夢は、普通の家で暮らし学校へ行くことだった。 ある日彼女は、お母さんをお金で買うことを思いつく。 そんな時、路上でギターを弾く陽気な盲目の老人ピーターと出会う。 ピーターのギターでブランカが歌うと順調に稼げるようになり、貯金も少しずつ増えていったのだが…。 ヒューマンドラマ。 ≪お母さんはいくらで買えるの?≫

  • 2018/02/11(日)12:16:53 |
  • 象のロケット

ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

イギリス・ロンドン。 ストリート・ミュージシャンの青年ジェームズはドラッグから更生途中のホームレス。 更生担当者のヴァルが手配した住居に、どこからか茶トラの猫が迷い込んで来る。 近所の女性ベティがボブと名付けたその猫は、ジェームズの側を離れない。 いつしかジェームズとボブは街の人気者に…。 実話から生まれたハートウォーミング・ストーリー。

  • 2018/02/11(日)12:16:12 |
  • 象のロケット

FC2Ad