◆『ラブ×ドック』トーホーシネマズ新宿12

▲ポスター。
五つ星評価で【★★バブルな月曜ドラマランド】
作品そのものがムチャクチャつまらない訳ではない。暇つぶし的に時間を浪費するには適当かもしれない。ただ、プライドの問題で「これを褒めるのは恥ずかしいなあ」そういうラインの映画があって、これはそんな中のバリバリ中央に位置する一本。
チラシのコピーを見てもらうと
「女性のホンネが詰まってる!?笑って泣けて恋がしたくなる“大人のため”のラブコメ、誕生!」
この映画の監督のみならず脚本を書いたのが「大人気放送作家・鈴木おさむ」。
ドラマ「ブスの瞳に恋してる」の原作者であり、映画「ハンサム★スーツ」の脚本家である。
えーと、男が話を作って書いてるのだから「「女性のホンネが詰まってる!?」は何かあやふやなコピー違うか。まあ、女性じゃないと女性のホンネが書けないって事はないかもしれないが、野郎というファクターを通す事で自然タテマエが形成される可能性は強い。だから、チンチン切ってからだよ、それは。「笑って、泣けて」もこの映画で思いっきり「笑って、泣ける」お客さんは情緒不安定だと思う。パステルカラーを全面に出したポスターデザインと言い、とてもバブルが滲み出てる。そういうのはバブルにやれよ。そして、何かとてもTV好き好きオーラが出ててイヤだ。大体、「ブスの瞳に恋してる」も、「ハンサム★スーツ」も、コンテンツとしては弱い。TVなら無料だから見たとしても、映画館に行ってまで見ようという意欲が沸きづらそうな映画だ。どうも製作者側にそういうシビアな金銭感覚が欠けていそう。世界に自分は好かれているから、自分が作ったコンテンツは引く手数多で大ヒットになると目をキラキラさせて信じていそう。それは違う。こんな大雑把な売り上げの見通しを立てちゃいかん。お前ら、金を払ってわざわざ映画を見にくる客を侮るんじゃねえ。こんなリターンが帰ってきそうにない映画で稼げるか?!
加藤ミリヤの曲が絶妙に古い。どうせ古いならもっとメジャーな懐メロを使えば良かったのに。
吉田羊はちゃんと座長を演じているし、演技に問題はないけど、これは外れ籤企画。あえて、吉田羊が演じて傷物にならなくても良かったのに。
絡む男三人と女一人は重さから言ったら助演だから、大傷の印象はない。
吉田鋼太郎、大人の彼。如才ない上手さ。大人のスマートさと所帯臭さみたいな小ささが良く出てる。
玉木宏、同世代の肉食彼氏。あっ、こんなにライトに自己中みたいな筋肉男ができるのね。ちょっと見なおした。
野村周平、ピュアで危険な年下の彼氏。まあ、彼は若いだけでいい役なので。
大久保佳代子。吉田羊とメチャクチャ容貌に違いがあるように見えない。メイクさん上手というか、吉田羊的にはそれでいいの?
多分、吉田羊を中心とした30代から40代にかけての女性層を掴みたかったのだろうが、吉田羊はあまり「吉田羊でお金を落とすか」というタイプの女優じゃないから、まず、その入口が違ったのだと思う。お客が、いい感じに空いていました。いや、ちゃんとした作りの映画で上手く宣伝で客を引っ張って来られるなら、開拓して大量の客が見込めそうなラインだと思うよ。だから、ちゃんと映画作ろうよ。よしんば映画館で上映するバラエティーでもいいんだけど。何にせよ、客をちゃんと連れてこようよ。
◆『ひらがな男子 序』トーホーシネマズ新宿1

▲こっちもポスター。
五つ星評価で【★★★どこからどう見ても異常なイベント。でも面白い。】
映画見る前に横の席みたらみんなサイリウムぶんぶん回してて驚いた。
今年見た中でもっとも頭がおかしい映画。
文字が失われてしまった日本を舞台に、ひらがな男子たちが仲間探しの旅に出るさまを映し出す。主人公は「あ」。主人公の次に登場するのが観客から妙に信頼されていない「う」。何で「観客から」と言えば、映画内で観客とひらがな男子が交歓するようなシナリオになってる。双方向っぽいけど、上手くシナリオが書けている「なんちゃって双方向」である。田舎者の「の」はどうでもいい。「た(だったと思う)」は単純バカ。「ち」はいい感じに知性、「ひ」は秘密が多くて好き。「ぬ」は強いバカ。
まあ、こんなんがあってもいいと思う。
【銭】
『ラブ×ドック』:トーホーシネマズデーにつき1100円
『ひらがな男子 序』:トーホーシネマズデーだが特別料金1500円均一。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・ラブ×ドック@ぴあ映画生活
・劇場版 ひらがな男子 ~序~@ぴあ映画生活