1965年、カラー、87分。初見。
三隅研次監督。
特集上映「映画は大映、ヴェーラも大映」から1プログラム。
勝新太郎の座頭市はこれで3本目。ほとんど見てない。
やべー。おもしれー。陽の部分も陰の部分も合わせ持つ成田三樹夫がすげーいい。困っている人を見れば助けるし、気に入った相手とはトコトン付きあうが、癇癪持ちの気もあり、自分が起こした事件に対しての始末を誰に知られる事なく着々と片付ける計略家の側面も見せる。そして勝新太郎の座頭市と気配で殺気を探り合うような剣の達人。
座頭市の方が、この成田三樹夫と一戦を交える心情に付いて映画内で語られないので、とてもチグハグに見えてしまう。座頭市は「極悪」でこそないが、単純な「善人」という設定でもない。仇討の兄妹に同情したとしても、それで自分を何回か助けてくれた成田三樹夫に刃を向けるのは感情の流れとしてどこか淀みがあるように見えてしまう。整理が付いていない。
風呂場から浮きを持って帰り、それを隠した座頭市に対して、強烈な殺気を浴びせる成田三樹夫。あの場面の近くに成田三樹夫に「自分が摘んでしまう前に余計な動きをする駒は取り除いてしまわないといけないからな」とか言わせておけば、対決の気運が高まったのに。おそらく、あの殺気のやり取りをした時点で、対決は避けられなかったのだろうが、それをスムーズに観客に提供できなかった脚本か演出はちょっとしくじったと思う。
音楽が伊福部なので座頭市がどこか大魔神っぽい。
ヤクザの親分、遠藤辰雄。この人の演技、違う演技を見た事がない。いつもあまりに同じなので癒される。
仇討兄妹の妹役が林千鶴と言う人で顔立ちが志保美悦子に似てる。この男装がまあ、カワイコちゃん男装で、ついついグッと来てしまう。それでも遠目からは男に見えるだろうから、長旅で男装している理由がないとは思わない。ただ、戦国時代から江戸時代に関して士分階級ではそこそこBL関係も華やかだったから、ナヨナヨしてる男装女子だったら「男と思われて逆に」とか妄想が止まらない。座頭市が目明きには分からなくともと言って、この妹の男装を見破るのが「何故、分かったのか」をバラさないのが無駄にエロい。匂いとか違うのかなあ。クンクン。
ラストがびっこ戸浦六宏との身障者対決。もう少し時代が勝新太郎の寿命を延ばしていたら乙武洋匡との頂上身障者対決とかも見れたかもしれない。
【銭】
通常一本立て興行価格1200円-400円(会員割引)。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・座頭市地獄旅@ぴあ映画生活
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