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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『ゴメスの名はゴメス・流砂』『他人の顔』『明日はいっぱいの果実』シネマヴェーラ渋谷

特集上映「日本ヌーヴェルヴァーグとは何だったのか」から3プログラム。
特集で聞かれる「何だったのか」についてはよう分からん。
チラシによるとフランスのヌーヴェルヴァーグが与えた、周辺化された人間への注目、反権威や政治、性といったテーマ、ドキュメンタリー・タッチの生々しさ、ジャズの多用とかとか。そういう影響を一時期の日本映画もジャバジャバ被った。その辺りの映画らしい。最初に見た2本が爽快感がない尖がった映画だったので、ブームにはなってもブームは終わるよなあとも思わせた。3本目はただただ尖がってるようだったが、何となくそれはヌーヴェルヴァーグではなく、監督の特性じゃないかと言う気がする(これしか見てないから分からないのだけど)。レビュー順は見た順。

◆『ゴメスの名はゴメス・流砂』
五つ星評価で【★★陰鬱なスパイ映画】
1967年、カラー、86分。初見。
高橋治監督。
全編香港ロケ。
仲代達矢が007張りのスーパースパイを演じたらヌーヴェルヴァーグにならないので、タッチはすこぶる陰鬱。スパイ物であるのだが、争ってる二つの組織も、二つの組織が何の情報を奪いあっているのかも観客にはよく分からない。まるで不条理な夢に巻き込まれたみたいで、その辺りがヌーヴェルヴァーグなんだろうか。
仲代達矢はいつもの涙目。
栗原小巻は超オボコい中国娘役。
謎の女に岸田今日子。適役すぎる。
書店で文庫本見かけた時も感心したが『ゴメスの名はゴメス』というタイトルの強さがたまらない。ただ、タイトル自体にそんな大層な内容性がある訳でもなく、実はこれは『チャイコフスキーの名はチャイコフスキー』でも『アンドロポフの名はアンドロポフ』でも成立するのだ。「流砂」はいらないだろう。



◆『他人の顔』
五つ星評価で【★★★ハイセンスすぎる演出が不気味】
1966年、白黒、122分。初見。
勅使河原宏監督。
最初に出てくる包帯で顔グルグル男が仲代達矢で顔がただれてしまってて超鬱。妙にやらしい脚線美奥さんの京マチ子にも辛く当たる。仲代は精神科で秘かに助清マスクの進化形、被るとまんま赤の他人の顔になれるマスクを処方してもらい、他人の生活を手に入れる。仲代は自分の会社などに行き、誰にも気づかれない事を満喫、妻の京マチ子と他人として関係を持ちたいという妄執に何でだか分からないが取られる。この状態を観察していた精神科医の平幹二朗はその仮面こそが君の新しい人格だとか言いだすが、いや、怪我で鬱になっていた患者が回復手段に酔って躁になってるだけでしょう、と思わざるを得ない。しっかりしてください、先生。いやまあ、仲代達矢の目が涙目でウルウルしすぎてるから診断を誤るというのはリアルにガチでありそうではあるが。この精神科医の診療施設が磯崎新がデザインしたらしく「お前は病人でここは病院なんだから病人らしくおかしくなっていろ」みたいな無機質な狂ったデザイン。直すための病院というより、クリスタルな黒魔術で解剖するための工場みたいなイメージ。鬱展開の話はつらいが、こういう妙なビジュアルには圧倒される。そこにいる看護婦が岸田今日子。ピッタリである。最終的には「そんな仮面を付けててもあなたである事は分かっていた」という京マチ子の言葉に仲代達矢はズドンと鬱に逆戻り。他人の生活を手に入れた仲代達矢には焼けただれた顔の鬱な自分が許せないのだろう。
『ピンクフロイド ザ・ウォール』の子供人形みたいな描写が先んじてこの映画に出てくる。大変、気持ち悪い。
マスク有無と無関係に仲代達矢を判別できる精白の役に市原悦子。ピッタリすぎて気持ち悪い。
最終的にとても沈んで人を疲れさせる映画。



◆『明日はいっぱいの果実』
五つ星評価で【★★★鰐淵晴子超キュート】
1960年、白黒、81分。初見。
斉藤正夫監督。
長澤まさみを更に伸ばしたみたいな超長澤まさみな鰐淵晴子が可愛いの何のって可愛いよ。鰐淵晴子が跳んだり跳ねたり子豚泣かしたり。ラストがいきなり終わりなのは白黒映画時代とは思えない新しさだが、ヌーヴェルバーグとかではなく監督が「もう尺撮れたからここで終わりでいいんじゃない」とでも言って終わったんじゃないかと言う気がする。そんな自由さを感じる。思った以上に今のビジュアルと変わらない杉浦直樹が二枚目役。


【銭】
それぞれ通常一本立て興行価格1200円-400円(会員割引)。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ゴメスの名はゴメス・流砂@ぴあ映画生活
他人の顔@ぴあ映画生活
明日はいっぱいの果実@ぴあ映画生活
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