FC2ブログ

ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『硫黄島』『叛乱』『黒い潮』シネマヴェーラ渋谷

特集上映「俳優が監督するとき」から3プログラム。

◆『硫黄島』
五つ星評価で【★★ザ・大坂士郎】
1959年、白黒、88分。16ミリのシネスコ(笑)、初見。
宇野重吉監督。16ミリでシネスコなんて映画あるんだな。上下黒身で画面小さくなる。いや、映写機の位置を調整してピントを合わせればスタンダードより大きくなるのかもしれないけど(16ミリの映写機は据え置くよりは持ち運んで設定するというイメージがある/そのイメージが正しいかどうかは知らない/映写技師でも何でもないんだし)。
大坂士郎が硫黄島からの帰還兵を演じる。彼の生前の足跡を探るルポの旅だが、近所の子供、女性、職場の若者などに聞く彼のイメージが酒場で管を巻いている新聞記者の接した彼のイメージと大きく異なる。日常生活から戦争を排除しようとしている姿勢と、それでも追いかけてくる悪夢との衝突なのか。大坂士郎って思ったより得体の知れない役者だ。メモは本当にあったのか、戦場で託されたらしい写真と戦後その戦友の妹が苗字が違う訳などほったらかしになってる伏線もそこそこあって、何だか薄気味悪い映画。
戦闘の場面は基本的にない。戦場の描写はあるが、基本、逃げる事しか手段が残されていず、戦争にならない。「掃討」と言う言葉の方が似つかわしい。敵軍人も出てこない。敵軍人が出てきた時には主人公達はもう生きていないだろうから。
神保町シアターで特集も組まれる女優、芦川いづみを初めて見た。なるほど綺麗だ。



◆『叛乱』
五つ星評価で【★★登場人物、多すぎ】
1954年、白黒、115分。初見。
佐分利信監督。226の青年将校に寄り添った映画。昔からある「事を進めてしまえばどうにかなる、ならなくてもどうにかしてみせる」調の無計画な精神論により決起が起こされ、それを否定していた主人公の細川俊夫がその流れに呑みこまれていしまうのが切ない。青年将校の中に丹波哲郎がいる。割と目立つ顔。珍しく一言も話さない。青年将校の中に沼田曜がいる。いてもよかろう。『地獄』以前はまあ、そこそこ普通の役者だった筈だ。青年将校の中に阿部徹がいる。何か、阿部徹の顔一つで青年将校の純粋さが打ち消されてしまう気がする。いい意味でも悪い意味でも強い顔。阿部徹は出来るならいない方が良かった。それにしても登場人物が多すぎて、もちょっと整理してほしかった。これは役者の顔が分かってる同時代の人が見るともっと見やすいのかもしれない。             
牢屋から刑場に運ばれていくまでに顔を隠すのに使われる目の所だけ開いたお面状の紙が、大昔の仮面ライダーの悪役クラゲダールを思い起こさせる。226の青年将校達も自分達がクラゲダールに見えると思われてるなんて想像もしなかったに違いない(生前にクラゲダールが存在しないのだから絶対想像が出来んだろ)



◆『黒い潮』
五つ星評価で【★★★着実だけど爽快でない】
1954年、白黒、112分。初見。
山村聰監督。国鉄総裁が轢殺された下山事件の開始からその事件が新たな事件に呑みこまれて薄まっていくまでを描いた新聞記者もの。事実を描くジャーナリズムと販売力を競うセンセーショナリズムとの間で、あくまで事実を描く事にこだわったデスク席を山村聰が熱演。周りからバカ扱いされながら愚直に正しい事をする山村聰が「これぞ山村聰」なのだが、今の新聞がそうであるように、山村聰も決してこの経済第一の世界では自分の立ち位置すら保持できない。これは正しい事をして負ける映画なのだ。山村聰の上席の部長がこの「負け」について、「しょうがない。いつも負ける。でも、続けるんだ」と言う。この上席も山村聰同様痛い目を合わされているのだが、迎合しない。とてもかっこいい男たち。そして、現場を見て山村聰に対する社の扱いの酷さに激昂する乙女・左幸子が可愛い。
厳しい新聞と離れた所で、山村聰の友人として浮世離れの人物として出てくる東野英治郎が気持ちいい。因業爺ばかりじゃなく、こんな明るい役も出来たのね(いや、因業爺役の東野英治郎は大好きよ)。
まあでも、やっぱり勝って終わってほしかったではある。

劇中「愛する人よ、さようなら」のセリフが並のホラー以上に怖い。あれは何でだろう。そこに感情の残滓が残っているように見えないからだろうか。



【銭】
最初に見た『硫黄島』の際、会員証の期限が切れたので1年更新、更新料1000円。もう、この3本で取り返している。
それぞれ通常一本立て興行価格1200円-400円(会員割引)。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
硫黄島@ぴあ映画生活
叛乱@ぴあ映画生活
黒い潮@ぴあ映画生活
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://fjk78dead.blog.fc2.com/tb.php/5650-de1a9ff6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)