FC2ブログ

ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『バーニング 劇場版』『オアシス』早稲田松竹

企画「イ・チャンドン監督特集」二本立て。
タイトルの二本と『シークレット・サンシャイン』を含む三本のうち二本チョイスで日替わり上映。この二本を選んだ理由は招待券もらったタイミングで、もうこの組み合わせしか残っていなかったから。

◆『バーニング 劇場版』早稲田松竹

▲左から、彼、彼女、富豪。

五つ星評価で【★★★分かるような分からないような】
2018年、カラー、148分、初見。TV版未視聴。
山ほどある寓意から何を引きだせるかという物語で、そういうゲーム性は面白いが、確認のため148分をもう一回見るのは辛い。60分くらいなら見直さんでもなかってたかもしれんが、うーん、微妙かな。
以下、箇条書きで雑感。
:ボイラーにいたのだという。でも、姿を見せないし、後から出て来る猫と同じ猫かどうかは判然としない。私は猫は彼女が彼に自分を忘れさせない為のシステムであり、実在しなくてもいいと思って見ていた。彼女が仕掛けて、彼がそれを彼女の部屋の中でじっくり育てる。「恋」とか「愛」とかじゃないか? ボイラーは燃えると危険だが、ちゃんと使えば温かくなる。ちゃんと使ってもらえるという信頼を彼女は彼に対して持っていた。
パントマイムの蜜柑:パントマイムで蜜柑を食べても腹は膨らまない。食べている体裁は整うが、食べているのとは異なる。永遠に蜜柑を食べられるが、その為には蜜柑がない事を忘れなければならない。彼が彼女が失踪して初めて恋を実感する。でも、その時、彼女はいないのだから、彼は一人で恋の振りをしているだけなのだ。彼が永遠に恋する為には、彼女がいない事を忘れなければならない。映画が実証するようにそんな事は出来ない。彼女の不在を忘れる事で、彼女とニアな存在を次々に入手し永遠に蜜柑を食べ続けるのが富豪のベンなのかもしれない。ただ、彼女がアフリカに行っている間に関しては、主人公の彼が黙々と蜜柑を食べ続けている状態であると言えなくもない。おそらく何にせよ人々は無限に蜜柑を食い続ける事は出来ないのだ。
井戸に落ちる:井戸に落ちた彼女を救った事で彼は信頼される。だが、その記憶は世界に取って甚だ不鮮明である。人の生き死にに関わる事であるのに誰も覚えていない。「井戸に落ちる」というのは困難に見舞われる事についての比喩だろうか? 彼女がいなくなってしまった事自体が「井戸に落ちる」と同等なのかもしれない。そうであるなら、ハッピーエンドでなくても、彼女を「井戸から引き上げる」為に、彼は何らかの結末を導き出さなければならかった。そういう事になる。呪いのようだ。
食事と排泄:富豪ベンの家で食事を振る舞われる。トイレの棚に残る残骸は彼女が富豪に消化吸収された事の証拠である。富豪は彼女に似た彼女の後釜を探してパズルピースにはめる。
富豪から見た彼と彼女:富裕層から見た彼と彼女は明白に貧しい存在であり、そういう値踏みはされるのだが、その事自体に格差はない(格差が悪意として意識されていない)。彼女は富裕層に対して旅の体験を語る事でゲストとして迎え入れられる。彼は自称「小説家」である事によって仮にゲストとして迎え入れられる。そこに居づらいのは彼が自分自身が「小説家」でない事を自覚しているし、他にその場にいるにふさわしい理由を見つけられないからである。

あと、バーニングならバンボロはちゃんと出してほしかった(違うだろ)。


◆『オアシス』早稲田松竹

▲ポスター。騙されちゃいけない。こんな大人しい映画ではない。

五つ星評価で【★★超強烈演技力】
2002年、カラー、133分、初見。

主演女優のムン・ソリの演技が凄い。
凄すぎて、映画その物の規格を越えてしまった。
映画のテーマはスポイルされた者同士の恋愛なのだが、そういうのが頭に入って来なくなるくらい障害者の演技をしているムン・ソリが凄い。「どこ見てんのよ」の青木さやかにちょっと似てるかもしれない。


【銭】
一般入場料金1300円だが、今回は会社の同僚に招待券を貰ったので無料鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
バーニング 劇場版@ぴあ映画生活
オアシス@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
バーニング 劇場版@ノラネコの呑んで観るシネマ
スポンサーサイト



コメント

こんばんは

小説を書きはじめてからのオリジナル要素は、もしかしたら主人公の小説かもって気もするんですけどね。

  • 2019/08/09(金) 23:01:29 |
  • URL |
  • ノラネコ #xHucOE.I
  • [ 編集 ]

Re: こんばんは

こんちは、ノラネコさん。

> 小説を書きはじめてからのオリジナル要素は、もしかしたら主人公の小説かもって気もするんですけどね。

自分の書いた文章通りに現実が進行してしまうというSFがありますが、それにしては都合のいい事なく、何か辛い事ばかり発動してしまってる感じです(そもそも小説だったら現実に起こった、もしくは起こりそうな事を文章にする事で軽減してるのかもしれないけど)。

  • 2019/08/10(土) 22:23:21 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://fjk78dead.blog.fc2.com/tb.php/5754-93b656e0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

オアシス

不器用で心優しいが社会常識の中で生きていくのが苦手な青年ジョンドゥ。 2年半の刑を終え、ひき逃げで死なせた清掃員のアパートを訪ねるが…。 出所したばかりの男と重度脳性麻痺の女の出会い。 社会から疎外されながらも2人が辿る愛の物語。

  • 2019/08/12(月)10:42:13 |
  • 象のロケット

バーニング 劇場版

アルバイトをしながら小説家を目指している青年ジョンスは、久しぶりに再会した幼馴染の女性ヘミから、アフリカ旅行へ行く間、飼っている猫の世話をして欲しいと頼まれる。 旅行から戻ったヘミは、アフリカで出会ったという裕福そうな男ベンと一緒だった。 3人で顔を合わせる機会が増えてきたある日、ベンは自分のある“趣味”を打ち明ける…。 ミステリー。

  • 2019/08/12(月)10:41:00 |
  • 象のロケット

バーニング 劇場版・・・・・評価額1750円

「彼」は、何を焼いたのか。 現代韓国を代表する巨匠・イ・チャンドン監督は、京都造形芸術大学で教鞭をとったり、何かと日本にも縁深い人だが、「ポエトリー アグネスの詩」以来、8年ぶりの新作となる「バーニング 劇場版」は、村上春樹の短編小説「納屋を焼く」の映画化。 さらにNHKが資本参加していて、148分の劇場版の他に、95分のTVドラマ版が作られ、日本では映画の公開に先立つ12月29日に放送さ...

  • 2019/08/09(金)22:57:01 |
  • ノラネコの呑んで観るシネマ