◆『BEYOND BLOOD』キネカ大森1
五つ星評価で【★★これは多分俺が悪い】
私は昔の映画の人なので、時間さえ合えばあまりその映画の事前の情報とか分からなくても「ぶらっ」と劇場に入ってしまう事がある。なんたる映画に対する信頼感。そう、昔の映画館と言うのは「ぶらっ」と入ったお客を事前情報とかなしでも楽しませてくれる装置として機能してたのよ。昔はTV番組やビデオ作品のファンだけを対象としたファンクラブ映画みたいなのもなかったし、続編も少なかったし、仮に続編であってもその続編だけ単体で見れるような作り方をするのが常識だった。
でも、これはあかんねん。
これは「ニュー・ウェイブ・オブ・フレンチホラー」と呼ばれる一時期のフランスホラー映画に対してのインタビューを中心にしたドキュメンタリーなのだけど、その映画群の一本すら、奇跡のように指からすり抜けて見ていなかった。そら、楽しめんわ、俺。なので、これはノコノコ見に行った俺が悪いのだと思う。
さて、フレンチホラーを撮った一群が一様に言うのは海外ではとても有名だが、フランス国内ではジャンル映画として差別される。そもそも同じ土俵に立つ映画として認識されないのだそうだ。こりゃアレだ。日本の成人映画みたいなもんだ。日本の成人映画、面白い物はその年のベストにあげて躊躇ないくらい面白い。でも、一般性はないし、全体に無視され続ける方向だ。まあ、つまらない物は底なし沼で息が出来ないくらいつまらないからバランス上、しょうがないかもしれんはしれんが。ジャンル映画(ホラー、アクション、SF等々)も多少、差別されるキライはなくもないが、大手邦画作成会社がそういう作品に興行価値を認めて手を出しているので、インディーズ映画以外は意外にそういうジャンル差別はない。押井守がメジャー系で撮れるという凄い国だからね。このインディーズの縛りも昨年『カメラを止めるな』が脚光を浴びた事でちょっとだけあやふやになった。良きかな、良きかな、頑張れ、頑張れ。
企画全体でスタンプラリーをやっていて、5本見たら6本目は無料というのをやっていたのだが、劇場の人が強く進めてこなかったので今回は辞退した。新作6本だけの企画で(今回は旧作上映無し)、全コンプ鑑賞は時間的に厳しいと踏んでの辞退だが、それでも「お前らスタンプ集めるんだよ!」と強制的にスタンプ渡してくれるくらいの態度がいいな。人の心は弱いから、そうでもされたら見てしまうかもしれないのに。
◆『シオリノインム』キネカ大森1
五つ星評価で【★★これは多分、演出と撮影が被写体の撮り方を間違えている】
松川千紘の初主演映画。
エロいっつか、ほぼ成人映画である。
頑張った彼女には申し訳ないが、被写体として可愛く撮れてない。これは監督と撮影が悪い。彼女は輪郭がハッキリしていて一重瞼のどちらかというと美人系。こういう人はシャープでコントラストのキツい映像で撮ると可愛くは映らない。この映画は霊障に脅える彼女に観客の同情を集めなければならない。弱さや可愛らしさを強調すべきであり、その為にはもっと柔らかい撮り方があったろう。
ホラー表現はよく撮れている。
見せない所はちゃんと見せないし、見せた方が効果が上がる所はちゃんと見せる。クリーチャー気持ち悪くて良いなあ。吐きだめの土肥さんが手掛けてる。じゃあ、低予算だな(いや、低予算とは思えないいい仕上がりである)。
ラスト後味悪い。
周りの役者さん知ってる人はいないけど、みないい演技してると思う。
【銭】
テアトル会員割引で各1300円で入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・BEYOND BLOOD@ぴあ映画生活
・シオリノインム@ぴあ映画生活