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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『鉄砲玉の美学』国立映画アーカイブ

◆『鉄砲玉の美学』国立映画アーカイブ
五つ星評価で【★★★若き渡瀬恒彦】 
特集企画「逝ける映画人を偲んで2017-2018」からの一本。
1973年のカラー映画、97分、初見。
狂犬時代の渡瀬恒彦、コメカミの血管がピクピクいって怖い。お年を召してからは柔和な役のみにシフトしていった感じだが、若い時はもうドチンピラでバリバリである。弱い犬のように吠えまくり、機嫌の上がり下がりが極端で、何か失言でもすると男でも女でも蛸殴りにしそうな熱さと怖さがある。感情に流される半端なチンピラ。とてつもなく未熟なのだが、その未熟である事が渡瀬恒彦の若さを際立たせる。未熟であり、何者でもなく、何も出来ない、世界から認められない苛立ちが強烈に渡瀬恒彦の若さをアピールする。彼のライバルは同じように何も出来ない川谷拓三であり、彼の対極が虚勢を張らずに地道に物事を成していく敵組織のトップ小池朝雄だ。そして、未熟である事によりエネルギッシュに若さをアピールする渡瀬恒彦はこの映画の中でよくモテる。だが、最後の最後にはその未熟さに女性陣は匙を投げてしまう。唯一、匙を投げるとかではなく、冷静に彼を値踏みして去っていったのが小池朝雄の情婦で、渡瀬の若さを楽しみながらも、引きどころも知っている大人の女、杉本美樹だ。杉本美樹が去った時点で渡瀬にはいい目がもう何も残っていない。そして、杉本美樹はとてもドライに渡瀬を捨てる。それが大人なのだ。あー、子供な渡瀬に合わせて犬になってくれる杉本美樹が良かったなあ。俺だって「ワンワン」って言ってほしいさ。

テキ屋として路上で大きくならないウサギを渡瀬は売るのだが、大きくならない種別ではなく、単にエサをやらずに成長させないだけだ。ウサギの窮状を見かねて渡瀬の情婦が渡瀬の留守中にエサをやると、何かとてもブザマに成長してしまう。今まで見た映画のウサギの中で群を抜いて醜い(※)。あれが夢に出てきたらうなされてしまうに違いないという醜さだ。青春が腐って濁って発酵したみたいなウサギであった。
 ※ ちなみに、今まで見た映画の中で群を抜いて危険性が高いウサギはピーター・ラビット。

監督が中島貞夫なので東映かと思ったらATGだった。うーん、ATGの映画にはとても見えない。

頭脳警察の主題歌かっけーな。

「鉄砲玉」の映画ではあるが、「美学」は貫かれていない(「貫けない悲劇を描いている」とも言える)。なので、ラストはたいそう盛り上がらない。どん底に落ちて終わるのが東映ではなくATG風味なのかもしれない。


【銭】
国立映画アーカイブ一般料金520円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
鉄砲玉の美学@ぴあ映画生活
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