◆『さらざんまい1-11話』シネ・リーブル池袋2
五つ星評価で【★★★変だが、そこが良い。が、本当にそれでよいか不安になるのが幾原節】
あのウテナの幾原邦彦による新作アニメで、とても変。
3人の少年主人公が妖怪人間ヨロシク魔力で河童に変身し、欲望の為にゾンビ化した人間と戦う。
出て来る登場人物は少年、青年、幼児(男)と、基本的に全て男性。河童をモチーフにして「尻子玉」を扱うなど、ホモセクシャルを暗喩するようなキーワードに満ちている。そもそも主役の少年が最初から女装するなど事情は何あれ性倒錯ありありの気配で物語が始まってしまうのである。河童の敵はカワウソとなっているが、カワウソ本体は現われないので、本当に本体がいるのかは不明。物語のピークは、主人公が自分の一番大切な弟を守るために自分を繋がりの外に置く覚悟を持つところ。逆にそのピーク以降は解明されると思っていた物語の全容がさっぱり分からずに話だけが閉じてしまい、得体の知れない怪作になった感じを受けた。もっとも、これは全11話を一度に見たから起こる事で、毎週一話ずつ見ながら、あーでもない、こーでもない、と議論を戦わせながら、輪郭を固めて見るというエヴァンゲリオン的な見方が求められていたのかもしれない。
毎週入る警察官二人と、主人公三人によるミュージカル・パートは心惹かれる物がある。
◆『あの夏で待ってる1-12話』シネ・リーブル池袋2
五つ星評価で【★★★★随分堂々と1クール掛けてちゃんとした恋愛ものを作ったのだな】
アニメで野郎目線の恋愛物ってこそばゆい。
多分、それは女性は絶対的に美人かカワイ子ちゃんで欲望要件満たす外見になるし、野郎は免罪符を買えとばかりにダメな所もあるけどどこか一カ所「純」だったりする言い訳可能なキャラになってしまうからじゃないか。何か、これが自分達ですという主張が見えすぎる強すぎる。それでも、そういうこそばゆい痒さに耐えて最後まで「恋愛のウジウジグダグダ」を描き切った。いやあー、御苦労様でした。そして、これがアニメが好きな文化系草食近辺のウジウジグダグダだけど、中に登場する恋愛要素ありのキャラクターらが全員玉砕成就の如何を問わず告白をしている。これが視聴者に向けてのエールなんじゃないか。そういうの黙って押し隠してしまいそうな人達が多そうじゃん(何を隠そう、いや、隠しはしないが私自身がそんな人間だ)。
男二人どっちも眼鏡と言うのは珍しいが実情にあってる。女性はそんなでもないが、野郎の眼鏡率は高かろう。
主要男女どっちも眼鏡キャラと言うのは流石に「初」ではないか?
イチカ先輩の「これって普通じゃないの?」エピソードはもっと見たかった。
カイトくんの病気はもちっと慎重に何回か尾を引かせるのかと思ったが、その辺は雑だった。
イチカ先輩と谷川さんは割と表裏一体のキャラで、外見は別として、感情的に大きな違いはあまりない。だからこそ逆にカイトくんがイチカ先輩を選んでしまう選択肢は残酷なのだと思う。そして、その残酷さが引き立つかのように谷川さんはよく泣く。そうか、違いがあるとすればこの感情の起伏に関して言えば違いがあるのだが、その感情の起伏についてカイトくんが平坦な方が良いみたいに思ってるようにはとても見えないので、やはり何故イチカ先輩を選んだのかというのは謎と言えば謎だ。いやまあ、男女の性差を持つ生物種の異性に好意を持つ基準の一つは自分の持つ種族と異なる遺伝子を持つ事だから(子孫がウィルス疾患に対する耐性が強くなる)、その意味ではイチカ先輩はこれ以上にないと言うくらいピッタリなのだが。いや、交配が可能であるとしたら「りのん」が一番モテるか、それだったら(おそらく交配が可能ではないのであろう)。
個人的には北原さんと檸檬先輩が好き。真っ中心のヒロインキャラより、変わり者が好きなのだ。北原さんの自宅の姿はドキドキする。でも、あれがとても自然で清潔感溢れる感じで描いてあるのがとても好感持てる。アニメーターがいい仕事してるな、キャラに愛を持ってるな、と。
【銭】
「アニメZONE」は長さに応じて料金設定がある。1クール連続鑑賞の場合は2800円、6時間弱だからまあ妥当だろう(CM時間がカットされるから実際にはもっと短い)。『さらざんまい』はテアトル会員割引で100円安い2700円で見た。そして、その『さらざんまい』の上映でたった1秒の映写トラブルがあり、それに対して配布されたごめんなさい券を使わせてもらって『あの夏で待ってる』を見せてもらった。
▼作品詳細などはこちらでいいかな(いや、但し、何も情報ないねんけんど)
・《TVアニメ『あの夏で待ってる』1~12話》@ぴあ映画生活
・《TVアニメ『さらざんまい』1~11話》@ぴあ映画生活
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