『のび太のパラレル西遊記』『~の宇宙小戦争』『~と竜の騎士』『~の宇宙開拓史』「併映作プログラムB」神保町シアター
- Date
- 2020/02/14/Fri 23:42
- Category
- 映画(FC2独自レビュー)
企画「ドラえもん映画祭2020」から5プログラム。
◆『のび太のパラレル西遊記』神保町シアター
五つ星評価で【★★★なるほどパラレルだった】
1988年、カラー、90分、初見。
西遊記の孫悟空を見つける為にタイムマシンに乗り込んだのび太とドラえもんがしくじって歴史を大改変してしまう。おいおい、こんな地球滅亡級の歴史改変はあかんやろ。歴史の改変を元に戻すため、過去の世界に逃げ出したゲームキャラの収納を行う。『カードキャプターさくら』のお手本みたいな話。この妖怪48体が三蔵法師の身体の部位を少しずつ持っていて、元のゲームに収納するごとに三蔵法師の身体が戻る。嘘です。それは『どろろ』です。面白いのはドラえもんが出す主人公になりきる事が出来る立体体感ゲーム。今ならVRでゴーグルだけだけど、筒型の筐体の中に入り全身360度ゲーム画面に囲まれて五感変換がなされる。この体感ゲームが『ドラゴン・クエスト』や『スーパー・マリオ』をベースにイメージが作られたのだろうが、ビジュアルがドット絵というかポリゴンっぽさが残ってて逆にイカシてる。
あと歴史改変がなされて魔物の持ち物になった世界のホラー描写が実に優れている。のび太ママが階段を登る足のカットだけで実に的確なホラー描写であるのが素晴らしかった。
最近のドラえもんはドラえもんが外界に出向いて、出向いた先の悪い権力者を退治してめでたしめでたしというパターンばかりなのだが、そういう007の悪玉の秘密基地を破壊したり、壊したりみたいな描写がなくても話は作れるのである。悪者を倒す事がドラえもんたちの仕事ではないのだ。
◆『のび太の宇宙小戦争』神保町シアター
五つ星評価で【★★★★感情ラインの流れが見事】
1985年、カラー、99分、初見。
OPのSF映画もじりが楽しい。
のび太達と仲良くなる宇宙人のパピが可愛らしい外見に似あわず、レギュラー、ゲスト全て合わせても一番くらいの人格者である。
物語の中で特筆すべきなのは悪玉側で、子供映画特有の薄っぺらくてちょっと抜けてたりもする愚鈍な悪玉ではなく、実働的で超頭がキレる。
悪玉が理詰めに頭が良く、次から次へと防衛策を出して反乱軍を追い詰める。ドラえもん映画でドラえもんに危機感を感じてしまうのも凄い。これはどらえもん側にも秘密兵器に弱みや限界をちゃんと付けて伏線にしている事も功を奏している。
ラスト平和が訪れた惑星で水に落ちたジャイアンがクシャミをするシーンがある。「宇宙戦争」的にそれはマズイだろ。
冒頭、ジャイアン+スネ夫+出木杉、のび太+ドラえもん+しずかに分かれて特撮映画の作成をする。そこで自由に自分の映画を作らせてもらえないとグズるしずかちゃんが良い。無言で泣いて怒る姿が実に藤子不二雄世界の女の子らしい。あと基本いじめっ子だが、出来事が大きくなるとネガティブが止まらなくなるスネ夫の描写も秀逸。
◆『のび太と竜の騎士』神保町シアター
五つ星評価で【★★★悪役側の誠実さ】
1987年、カラー、91分、初見と思ったら2回目だった。
のび太達もノイローゼ的(ジャイアン的にはノゼローゼ)。
のび太も、ジャイアンも、スネ夫も、しずかちゃんも皆一人で好きに出来る個別の部屋が欲しいという欲求がある。だが、経済的に本当に一人部屋を持っていなそうなのはジャイアンくらいだ。ジャイアンはリサイタル用の練習、しずかちゃんも殺人的なバイオリンの練習、この二人の目的は趣味の徹底であり、それが元の部屋でやるには充分でない。のび太は昼寝部屋。スネ夫はノイローゼの自己修復に来ている。もう、この頃から子供だって疲れてる、みたいな描き方を子供はされるようになっている。
のび太たちと敵対する位置に付く集団が、彼等の思想に基づき決して敵意のない毅然とした態度を取っていたのも印象的だった。
◆『のび太の宇宙開拓史』神保町シアター
五つ星評価で【★★★★ちゃんとしてる。】
1981年、カラー、91分、初見。
リメイク版を見ているのだが、今回見たオリジナルの方が子供全員の友達関係を単純明快かつ緻密に描いてると思う。まあ、リメイク見たのもかなり前なので、リメイク版を見直したら又、感想変わるかもしれないけど。
劇場版第二作と、今回まとめて見た4本の中ではもっとも古いのだが、この時点でもう東京に空き地がないと言わせてる。ただ、ドカンの空き地とかはあるのだからバットやグローブを使わない軟式で野球遊びすれば良くないか?
話は、野球をやる空き地を中学生に取られて、それを取り返す事をムチャ振りされたのび太が、代わりの代換え地として見つけた惑星で、又、ジャイアンとの仲を悪化させ、それでも何かあれば皆、助けに駆けつける。駆けつける部分より、仲が悪くなったり敬遠したりの意地の張り合い部分がリアルだった。
ワープ表現が『宇宙戦艦ヤマト』のワープと『スター・ウォーズ』の超高速推進のいいとこ取りっぽい。
メカデザインがガンダムの大河原邦男。
PS のび太とドラえもんだけがちょくちょく遊びに行く事になるコーヤコーヤ星、そこでののび太は低重力のため体力はスーパーマン、早打ちの特技は活かされ、あやとりを友人の妹に教える。そして、勉強すらその友人の妹に自発的に教えたりしている。つまり、コーヤコーヤ星でののび太は非常に有能ないい子供なのだ。地球での学校教育がのび太をダメにしている可能性がとても高い。
◆『エスパー魔美 星空のダンシングドール(併映作プログラムB)』神保町シアター
五つ星評価で【★★★魔美かわいい】
1988年、カラー、41分、三回目。
ファッションがけっこう今っぽいとツイッターで呟いたら、どんなとこと聞かれて、「ニーソ、紺ソク、タイツ」と呟いて性癖がダダ漏れた。主人公そっちのけでゲストキャラの恋愛がメインで盛り上がるのは『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』っぽい。
◆『ドラミちゃん ミニドラSOS(併映作プログラムB)』神保町シアター
五つ星評価で【★★あれ?】
1989年、カラー、40分、初見。
のび太の子供達の世代でワイワイガヤガヤ。のび太の息子とジャイアンの息子の関係が逆転してたりする。気が付いたら終わってた。あれ?
【銭】
神保町シアター一般入場料金各1300円。併映Bは二本で1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・映画ドラえもん のび太のパラレル西遊記@ぴあ映画生活
・映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争〈リトル・スターウォーズ〉@ぴあ映画生活
・映画ドラえもん のび太と竜の騎士@ぴあ映画生活
・ドラえもん のび太の宇宙開拓史@ぴあ映画生活
・エスパー魔美 星空のダンシングドール@ぴあ映画生活
▼関連記事。
・エスパー魔美 星空のダンシングドール(一回目)@死屍累々映画日記
・エスパー魔美 星空のダンシングドール(二回目)@死屍累々映画日記
◆『のび太のパラレル西遊記』神保町シアター
五つ星評価で【★★★なるほどパラレルだった】
1988年、カラー、90分、初見。
西遊記の孫悟空を見つける為にタイムマシンに乗り込んだのび太とドラえもんがしくじって歴史を大改変してしまう。おいおい、こんな地球滅亡級の歴史改変はあかんやろ。歴史の改変を元に戻すため、過去の世界に逃げ出したゲームキャラの収納を行う。『カードキャプターさくら』のお手本みたいな話。この妖怪48体が三蔵法師の身体の部位を少しずつ持っていて、元のゲームに収納するごとに三蔵法師の身体が戻る。嘘です。それは『どろろ』です。面白いのはドラえもんが出す主人公になりきる事が出来る立体体感ゲーム。今ならVRでゴーグルだけだけど、筒型の筐体の中に入り全身360度ゲーム画面に囲まれて五感変換がなされる。この体感ゲームが『ドラゴン・クエスト』や『スーパー・マリオ』をベースにイメージが作られたのだろうが、ビジュアルがドット絵というかポリゴンっぽさが残ってて逆にイカシてる。
あと歴史改変がなされて魔物の持ち物になった世界のホラー描写が実に優れている。のび太ママが階段を登る足のカットだけで実に的確なホラー描写であるのが素晴らしかった。
最近のドラえもんはドラえもんが外界に出向いて、出向いた先の悪い権力者を退治してめでたしめでたしというパターンばかりなのだが、そういう007の悪玉の秘密基地を破壊したり、壊したりみたいな描写がなくても話は作れるのである。悪者を倒す事がドラえもんたちの仕事ではないのだ。
◆『のび太の宇宙小戦争』神保町シアター
五つ星評価で【★★★★感情ラインの流れが見事】
1985年、カラー、99分、初見。
OPのSF映画もじりが楽しい。
のび太達と仲良くなる宇宙人のパピが可愛らしい外見に似あわず、レギュラー、ゲスト全て合わせても一番くらいの人格者である。
物語の中で特筆すべきなのは悪玉側で、子供映画特有の薄っぺらくてちょっと抜けてたりもする愚鈍な悪玉ではなく、実働的で超頭がキレる。
悪玉が理詰めに頭が良く、次から次へと防衛策を出して反乱軍を追い詰める。ドラえもん映画でドラえもんに危機感を感じてしまうのも凄い。これはどらえもん側にも秘密兵器に弱みや限界をちゃんと付けて伏線にしている事も功を奏している。
ラスト平和が訪れた惑星で水に落ちたジャイアンがクシャミをするシーンがある。「宇宙戦争」的にそれはマズイだろ。
冒頭、ジャイアン+スネ夫+出木杉、のび太+ドラえもん+しずかに分かれて特撮映画の作成をする。そこで自由に自分の映画を作らせてもらえないとグズるしずかちゃんが良い。無言で泣いて怒る姿が実に藤子不二雄世界の女の子らしい。あと基本いじめっ子だが、出来事が大きくなるとネガティブが止まらなくなるスネ夫の描写も秀逸。
◆『のび太と竜の騎士』神保町シアター
五つ星評価で【★★★悪役側の誠実さ】
1987年、カラー、91分、初見と思ったら2回目だった。
のび太達もノイローゼ的(ジャイアン的にはノゼローゼ)。
のび太も、ジャイアンも、スネ夫も、しずかちゃんも皆一人で好きに出来る個別の部屋が欲しいという欲求がある。だが、経済的に本当に一人部屋を持っていなそうなのはジャイアンくらいだ。ジャイアンはリサイタル用の練習、しずかちゃんも殺人的なバイオリンの練習、この二人の目的は趣味の徹底であり、それが元の部屋でやるには充分でない。のび太は昼寝部屋。スネ夫はノイローゼの自己修復に来ている。もう、この頃から子供だって疲れてる、みたいな描き方を子供はされるようになっている。
のび太たちと敵対する位置に付く集団が、彼等の思想に基づき決して敵意のない毅然とした態度を取っていたのも印象的だった。
◆『のび太の宇宙開拓史』神保町シアター
五つ星評価で【★★★★ちゃんとしてる。】
1981年、カラー、91分、初見。
リメイク版を見ているのだが、今回見たオリジナルの方が子供全員の友達関係を単純明快かつ緻密に描いてると思う。まあ、リメイク見たのもかなり前なので、リメイク版を見直したら又、感想変わるかもしれないけど。
劇場版第二作と、今回まとめて見た4本の中ではもっとも古いのだが、この時点でもう東京に空き地がないと言わせてる。ただ、ドカンの空き地とかはあるのだからバットやグローブを使わない軟式で野球遊びすれば良くないか?
話は、野球をやる空き地を中学生に取られて、それを取り返す事をムチャ振りされたのび太が、代わりの代換え地として見つけた惑星で、又、ジャイアンとの仲を悪化させ、それでも何かあれば皆、助けに駆けつける。駆けつける部分より、仲が悪くなったり敬遠したりの意地の張り合い部分がリアルだった。
ワープ表現が『宇宙戦艦ヤマト』のワープと『スター・ウォーズ』の超高速推進のいいとこ取りっぽい。
メカデザインがガンダムの大河原邦男。
PS のび太とドラえもんだけがちょくちょく遊びに行く事になるコーヤコーヤ星、そこでののび太は低重力のため体力はスーパーマン、早打ちの特技は活かされ、あやとりを友人の妹に教える。そして、勉強すらその友人の妹に自発的に教えたりしている。つまり、コーヤコーヤ星でののび太は非常に有能ないい子供なのだ。地球での学校教育がのび太をダメにしている可能性がとても高い。
◆『エスパー魔美 星空のダンシングドール(併映作プログラムB)』神保町シアター
五つ星評価で【★★★魔美かわいい】
1988年、カラー、41分、三回目。
ファッションがけっこう今っぽいとツイッターで呟いたら、どんなとこと聞かれて、「ニーソ、紺ソク、タイツ」と呟いて性癖がダダ漏れた。主人公そっちのけでゲストキャラの恋愛がメインで盛り上がるのは『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』っぽい。
◆『ドラミちゃん ミニドラSOS(併映作プログラムB)』神保町シアター
五つ星評価で【★★あれ?】
1989年、カラー、40分、初見。
のび太の子供達の世代でワイワイガヤガヤ。のび太の息子とジャイアンの息子の関係が逆転してたりする。気が付いたら終わってた。あれ?
【銭】
神保町シアター一般入場料金各1300円。併映Bは二本で1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・映画ドラえもん のび太のパラレル西遊記@ぴあ映画生活
・映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争〈リトル・スターウォーズ〉@ぴあ映画生活
・映画ドラえもん のび太と竜の騎士@ぴあ映画生活
・ドラえもん のび太の宇宙開拓史@ぴあ映画生活
・エスパー魔美 星空のダンシングドール@ぴあ映画生活
▼関連記事。
・エスパー魔美 星空のダンシングドール(一回目)@死屍累々映画日記
・エスパー魔美 星空のダンシングドール(二回目)@死屍累々映画日記
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