『海底3万マイル』『西遊記』『サイボーグ009』『サイボーグ009 怪獣戦争』渋谷TOEI②
- Date
- 2020/06/22/Mon 00:10
- Category
- 映画(FC2独自レビュー)
◆『海底3万マイル』渋谷TOEI②
五つ星評価で【★★★石森章太郎らしい】
1970年、カラー、60分、初見。
自分が大人になってしまったという事もあり、この少年主人公の生意気でもワンパクでありさえすれば何でも許されるというキャラ設定にむかついてしまった。女の子にサッカーボールぶつけておいて謝らないなんて許されないだろ。製作された1970年代はそういうガキが主流のガキだった訳だ。『鬼滅の刃』の炭治郎くんの何んて人間が出来ている事か。まあ、あれは出来すぎ過ぎる。主人公が主人公ならヒロインもヒロインで、海底王国の王女で、これも自己中で人の言う事を全然聞かない。悪玉は地底王国なのだが、主人公とヒロインが好き勝手やってるからか霞む。そら、侵略は悪いだろうが、彼等だって、ずっと地下にいたのなら地上にだって住みたかろう。主人公が主人公と言う理由だけで勝って終わった感じ。
◆『西遊記』渋谷TOEI②
五つ星評価で【★★★手塚治虫っぽい】
1960年、カラー、88分、初見。
手塚治虫が東映動画に乗り込んで作った西遊記もの。後のナンセンスギャグ『悟空の大冒険』に比べると筋立てもかなりベーシックの「西遊記」に近い。「西遊記」屈指の悪役、金角・銀角、牛魔王も出てくるし、オリジナル「西遊記」のエピソードも卒なく取り込んでいる。違うのは、悟空にはリンリンという猿の恋人、牛魔王には小竜という正義と悪との間で苦しむ魔物の部下が追加キャラとして設定されている所とかだ。悟空やリンリン、小竜なんかの表情のアニメートが素晴らしく、ある意味、とってもお行儀が良い表情集みたい。動画として、ちゃんと作っているのだな。こんなにちゃんと作っているのに、この後、手塚は国産第一号の連続TVアニメ『鉄腕アトム』でほぼほぼ動かないアニメを作り、それをアニメ業界に拡散してしまうという大罪を犯してしまうのは皮肉としか言いようがない。
沙悟浄がTVドラマ「西遊記」岸部シローの河童メイクではなく、原作の水妖(水入道)にイメージが近い。この沙悟浄の土中をドリルで進むイメージが妙にツボ。
三蔵法師は成人男子であるが、姿が麗しく描かれ、案外、これがTVドラマ「西遊記」で夏目雅子をキャスティングした元々のイメージなのではないかといぶかしんだりする。
牛魔王、顔でかすぎ(笑)。
妖怪の宴のシーンが素晴らしい。ジャズだったり、ポップアートだったり、手塚のマニアックな方向に暴走しがちな部分が垣間見える。
インドに付いた三蔵法師を待っていたのはブッダと観音菩薩。絵として見るとなかなかのインパクトがあった。家の玄関に観音菩薩がいるって、どう考えてもドラッグ決めてるとしか思えない。
◆『サイボーグ009』渋谷TOEI②
五つ星評価で【★★★ブラック・ゴーストの説明がちゃんとしてる】
1966年、カラー、64分、二回目。
「ウルトラセブン」のような影絵と光学合成の組み合わせオープニングがかっけー。でも、冒頭OPロールがインストゥルメンタルで、主題歌がドラマのほぼ中間部に掛かるというのは、東映の長編アニメ映画としてはかなりのルール破りじゃなかろうか。
島村ジョーの乗るスポーツカーの番号が⑨、事故に会いひっくり返って⑥になると火災(これは偶然だろうが)。
ギルモア博士の声はボヤッキー。自ら開発した万能飛行船(陸海空何でもあれ)を紹介する時に「今週のビックリ、ドッキリ・メカ~」と叫んでほしかった(いや、叫ばないだろ)。
◆『サイボーグ009 怪獣戦争』渋谷TOEI②(ネタバレ)
五つ星評価で【★★★サイボーグ0010お前は何者なのか?】
1967年、カラー、60分、初見。
※ ネタバレ感想です
太田博之(009)を巡り、ジュディ・オング(003)と市原悦子(ヘレナ)の恋の鞘当てが! 全員、必殺シリーズの出演者じゃん(但し、それぞれ個別の枠で共演はない)。
まあ、市原悦子は『ホルスの大冒険』でヒルダも演じていたから、声の演技を認められていたんだよね、きっと。今回も「ヘレナはバラバラ」みたいな役柄だった。つか、9人のサイボーグ戦士が世直し行脚するのに、その集合の晩にたまたまジョーたちと接触事故を起こし、たまたまドルフィン号に密航するなんて疑惑ありありでしょう。家政婦同様、ずっとジョーたちの行動を見る役だった。彼女は0010、レーザー銃を仕込んだ指輪で戦うのだが、特殊な技能はなく、サイボーグである必要は全くなかった。ジョーと互角に戦っていたので加速装置が付いていたのかもしれない(但し、映画内では002,009に加速装置が付いているという設定記述はない)。原作では0010を名乗っている双子のサイボーグは0011に順番を下げられてしまった。原作の0011は蛸足サイボーグ、0012は家、0013は巨大なロボットを手足として操る少年だったので、ある意味、ヘレナ0010は0013のように怪獣ロボットを自分の手足として操縦するという設定にすればスムーズだったのに。
006の経営する中華料理屋の名前は「六号飯店」だか「六番飯店」だか。
009達の乗るドルフィン号がレインボー戦隊ロビンと挨拶を交わすシーンがある。
怪獣ロボットのトレス線が赤である事から、マシントレス機不使用の昔ながらのハンドトレスである。効率化の名の下、どんどん、トレスマシンに移行していった時代であった事を考えれば、ハンドトレスは大変豪華な起用である。トレス作業者に対する最後のはなむけだったのかもしれない。
001の超能力は「サイコキネシス(念動力)」「テレポーテーション(瞬間移動)」の両方が「観念動力」という言葉で一緒にされている。まだ、個別の言葉が一般には浸透していなかったからだろう。
冒頭、怪獣ロボの被害に合う客船の中でダンスパーティーが開かれている。案外、アニメでゴーゴーダンス踊ってるシーンって珍しいんじゃなかろうか?
【銭】
各作品旧作価格で1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・海底3万マイル@ぴあ映画生活
・西遊記〈1960年〉@ぴあ映画生活
・サイボーグ009@ぴあ映画生活
・サイボーグ009 怪獣戦争@ぴあ映画生活
▼関連記事。
・サイボーグ009(一回目)@死屍累々映画日記・第二章
・サイボーグ009(二回目)@死屍累々映画日記・第二章
五つ星評価で【★★★石森章太郎らしい】
1970年、カラー、60分、初見。
自分が大人になってしまったという事もあり、この少年主人公の生意気でもワンパクでありさえすれば何でも許されるというキャラ設定にむかついてしまった。女の子にサッカーボールぶつけておいて謝らないなんて許されないだろ。製作された1970年代はそういうガキが主流のガキだった訳だ。『鬼滅の刃』の炭治郎くんの何んて人間が出来ている事か。まあ、あれは出来すぎ過ぎる。主人公が主人公ならヒロインもヒロインで、海底王国の王女で、これも自己中で人の言う事を全然聞かない。悪玉は地底王国なのだが、主人公とヒロインが好き勝手やってるからか霞む。そら、侵略は悪いだろうが、彼等だって、ずっと地下にいたのなら地上にだって住みたかろう。主人公が主人公と言う理由だけで勝って終わった感じ。
◆『西遊記』渋谷TOEI②
五つ星評価で【★★★手塚治虫っぽい】
1960年、カラー、88分、初見。
手塚治虫が東映動画に乗り込んで作った西遊記もの。後のナンセンスギャグ『悟空の大冒険』に比べると筋立てもかなりベーシックの「西遊記」に近い。「西遊記」屈指の悪役、金角・銀角、牛魔王も出てくるし、オリジナル「西遊記」のエピソードも卒なく取り込んでいる。違うのは、悟空にはリンリンという猿の恋人、牛魔王には小竜という正義と悪との間で苦しむ魔物の部下が追加キャラとして設定されている所とかだ。悟空やリンリン、小竜なんかの表情のアニメートが素晴らしく、ある意味、とってもお行儀が良い表情集みたい。動画として、ちゃんと作っているのだな。こんなにちゃんと作っているのに、この後、手塚は国産第一号の連続TVアニメ『鉄腕アトム』でほぼほぼ動かないアニメを作り、それをアニメ業界に拡散してしまうという大罪を犯してしまうのは皮肉としか言いようがない。
沙悟浄がTVドラマ「西遊記」岸部シローの河童メイクではなく、原作の水妖(水入道)にイメージが近い。この沙悟浄の土中をドリルで進むイメージが妙にツボ。
三蔵法師は成人男子であるが、姿が麗しく描かれ、案外、これがTVドラマ「西遊記」で夏目雅子をキャスティングした元々のイメージなのではないかといぶかしんだりする。
牛魔王、顔でかすぎ(笑)。
妖怪の宴のシーンが素晴らしい。ジャズだったり、ポップアートだったり、手塚のマニアックな方向に暴走しがちな部分が垣間見える。
インドに付いた三蔵法師を待っていたのはブッダと観音菩薩。絵として見るとなかなかのインパクトがあった。家の玄関に観音菩薩がいるって、どう考えてもドラッグ決めてるとしか思えない。
◆『サイボーグ009』渋谷TOEI②
五つ星評価で【★★★ブラック・ゴーストの説明がちゃんとしてる】
1966年、カラー、64分、二回目。
「ウルトラセブン」のような影絵と光学合成の組み合わせオープニングがかっけー。でも、冒頭OPロールがインストゥルメンタルで、主題歌がドラマのほぼ中間部に掛かるというのは、東映の長編アニメ映画としてはかなりのルール破りじゃなかろうか。
島村ジョーの乗るスポーツカーの番号が⑨、事故に会いひっくり返って⑥になると火災(これは偶然だろうが)。
ギルモア博士の声はボヤッキー。自ら開発した万能飛行船(陸海空何でもあれ)を紹介する時に「今週のビックリ、ドッキリ・メカ~」と叫んでほしかった(いや、叫ばないだろ)。
◆『サイボーグ009 怪獣戦争』渋谷TOEI②(ネタバレ)
五つ星評価で【★★★サイボーグ0010お前は何者なのか?】
1967年、カラー、60分、初見。
※ ネタバレ感想です
太田博之(009)を巡り、ジュディ・オング(003)と市原悦子(ヘレナ)の恋の鞘当てが! 全員、必殺シリーズの出演者じゃん(但し、それぞれ個別の枠で共演はない)。
まあ、市原悦子は『ホルスの大冒険』でヒルダも演じていたから、声の演技を認められていたんだよね、きっと。今回も「ヘレナはバラバラ」みたいな役柄だった。つか、9人のサイボーグ戦士が世直し行脚するのに、その集合の晩にたまたまジョーたちと接触事故を起こし、たまたまドルフィン号に密航するなんて疑惑ありありでしょう。家政婦同様、ずっとジョーたちの行動を見る役だった。彼女は0010、レーザー銃を仕込んだ指輪で戦うのだが、特殊な技能はなく、サイボーグである必要は全くなかった。ジョーと互角に戦っていたので加速装置が付いていたのかもしれない(但し、映画内では002,009に加速装置が付いているという設定記述はない)。原作では0010を名乗っている双子のサイボーグは0011に順番を下げられてしまった。原作の0011は蛸足サイボーグ、0012は家、0013は巨大なロボットを手足として操る少年だったので、ある意味、ヘレナ0010は0013のように怪獣ロボットを自分の手足として操縦するという設定にすればスムーズだったのに。
006の経営する中華料理屋の名前は「六号飯店」だか「六番飯店」だか。
009達の乗るドルフィン号がレインボー戦隊ロビンと挨拶を交わすシーンがある。
怪獣ロボットのトレス線が赤である事から、マシントレス機不使用の昔ながらのハンドトレスである。効率化の名の下、どんどん、トレスマシンに移行していった時代であった事を考えれば、ハンドトレスは大変豪華な起用である。トレス作業者に対する最後のはなむけだったのかもしれない。
001の超能力は「サイコキネシス(念動力)」「テレポーテーション(瞬間移動)」の両方が「観念動力」という言葉で一緒にされている。まだ、個別の言葉が一般には浸透していなかったからだろう。
冒頭、怪獣ロボの被害に合う客船の中でダンスパーティーが開かれている。案外、アニメでゴーゴーダンス踊ってるシーンって珍しいんじゃなかろうか?
【銭】
各作品旧作価格で1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・海底3万マイル@ぴあ映画生活
・西遊記〈1960年〉@ぴあ映画生活
・サイボーグ009@ぴあ映画生活
・サイボーグ009 怪獣戦争@ぴあ映画生活
▼関連記事。
・サイボーグ009(一回目)@死屍累々映画日記・第二章
・サイボーグ009(二回目)@死屍累々映画日記・第二章
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