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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『出獄の盃』神保町シアター

◆『出獄の盃』神保町シアター
五つ星評価で【★★何だこりゃ】
特集「没後30年 異端の美学 大映の成田三樹夫」から1プログラム。
1966年、カラー、87分、初見。井上梅次監督作品。
私、井上梅次は『黒蜥蜴』くらいしか見ていなくて、アレは大好きなのだけど、たまに他のにぶつかると「なんか変」な気がしてならない。
ムーディー、っつか、音楽を入れてくるんだけど、その入れ方が強引。今回も助演が歌手のアイ・ジョージだからか、ギャング同士が抗争前でピリピリしてる時にカメラ目線で歌うカットとか入ってて、そんなんおかしいやろ。刑務所で出会った田宮二郎とアイ・ジョージがそろそろ刑期を終えると言う時に風呂場で「真人間になるぞお、堅気になるぞお」と約束して酌み交わした水盃(正確にはお湯サカズキか)が『出獄の盃』なのだが、二人とも一切、真人間になるカットが映画にない所が世知辛い。
田宮二郎が殴る、蹴る、アイ・ジョージが歌う、これが1セットみたいな扱い。まあ多分、田宮二郎が歌う訳にはいかんのだろう。
田宮二郎は出所したら妹はヤク中で死んでいて、母も妹のヤク代稼ぎで食うにも困って、ほどなく衰弱死。これで麻薬(=ヘロイン)にバリバリ怨みを持ちながら、関西で末端20億だかのヘロインを強奪、「こんなもん要らねえ」と即座に捨てるかと思いきや、ノコノコ関東にまで売りに出掛ける。多分、売ると見せかけて組織壊滅をするのだろうとは思うものの、割とその辺りがハッキリしないので、ちょっとイラっとする。
対するアイ・ジョージも奥さんが闘病中らしく、金が要るのでヤクザの用心棒になっている。
運命的に出会う田宮二郎とアイ・ジョージ。バックに流れるアイ・ジョージの歌、これが絶妙にちょっと違う感。ステーキレストランで味噌汁が出てきたみたいな感じ、無駄に和風で重い。ほどなくアイ・ジョージの奥さんも死んで、アイ・ジョージが敵の用心棒でいながら、田宮二郎を助ける事が出来る設定が完成する。ここまで、田宮二郎の妹と母親、アイ・ジョージの妻が死んでるのだが、この三人は画面に登場しない(写真くらいは出たか)。ちょっとドラマバランスおかしくないか。田宮二郎側には妹の勤め先のバーの女主人と、妹の親友というWロマンスが仕掛けられるのだが、どっちも最終的には麻薬と縁があって、ラブロマンスは実らない。
「もう、女なんてみんな不幸になればいいのよ、キー」的な片付け方である。そんな女に群がるのは悪党とバカとメソメソ主人公二人組。田宮二郎が決して正義の味方に見えきれない部分が話を迷走させている。彼が悪い奴を全部集めるのはいいのだが、そこで彼とアイ・ジョージの二人で事態を回収しきれないのである。おいおい、ちゃんとやれよ、主人公。最後は踏み込んでくる警察頼り。
成田三樹夫は謎の男、ラストシーンで田宮二郎とアイ・ジョージと三人車の荷台で歓談して終わるのだが、身内を亡くした二人に俺も新婚の妻がいるから、今回の荒っぽい事件を妻に隠すのに大変だったとノロケる。どう考えてもムチャクチャ不必要な展開である。そして、その展開の中に「いやあ、新婚の妻が可愛くて、可愛くてなあ」といった感じでデレデレ笑う成田三樹夫というとても珍しい物が見れる。すげえキュートで、そこはよかった。でもまあ、麻薬事件は片付いたが、被害者も出て案外ビター・エンドの筈なのに、夕焼けが綺麗で成田三樹夫の笑顔が可愛くて、ハッピーエンドっぽく終わる。やっぱ変な映画じゃないだろうか。


【銭】
一般入場料金1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
出獄の盃@ぴあ映画生活
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