『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』アニメシアター『天皇の料理番 第一回』ヴェーラ『切腹』神保町
- Date
- 2020/11/29/Sun 13:48
- Category
- 映画(FC2独自レビュー)
同日三本鑑賞をまとめて。
とは言うものの一本目は30分、2本目は47分だ。
◆『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』EJアニメシアター新宿

▲主人公(左)とクイーン(右)。クイーンと言ってもフレディ・マーキュリーとは関係ない。
五つ星評価で【★★これはヒドい】
まずオープニングはゲロかっけー。それは認めよう。
前作と合わせて1時間だが、1時間の内容はない。
バックボーン(ゲームか?)を知らないと言うのはあるにしても、殺し合いの末にラストに生き残った一人が何でも可能な褒賞を与えられるという『ハイランダー』設定が一切勘案されないラストはいったい何なのか? 話は何を求めてどこに行こうとしているのか一切分からない。説明しろよ。それは物語形式の作品に金を払った観客に向けての誠意だろう。クイーンを自称するキャラクターは主人公同様オッド・アイだが、別にそこに理由はないらしい。クイーンは他者の姿を借りたり、借りた他者本体の姿を小動物に変えたりも出来るが、それ以外にも別の能力が使えるかなどの強さの制約が見えない。それって戦闘アニメであるにも関わらず、それぞれの強さが曖昧だという事だからダメダメである。主人公とクイーン以外は倒されるべきザコキャラなので、見た目(装具や武器)以上の強さは持っていないが、そもそも主人公の強さが説明できないくらい未知数なのだ。
◆『天皇の料理番 第一回』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★★のほほんと見れる。テレビドラマだからかな】
特集「森崎東党宣言!」の1プログラム。
1980年、カラー、47分、テレビドラマ、初見。森崎東監督。
配役表に千葉繁発見。「小坊主1」ほぼ話さない役なので、往年のキレ芸は勿論なし(無言でキレる場面はある)。若い頃の声優が役者として小さな役をあてられて、自分の声をほぼほぼ出せずに終わってしまったのは他に広川太一郎の『男はつらいよ』とか池田秀一の『獄門島』がある。千葉繁、顔が分からん。っつか、あの人は『紅い眼鏡』という主演映画があるのだったな。
さて、主演は堺正章ことマチャアキ。日露戦争開戦前夜の時代で、村一番のアホウ役。おー、鳥ガラ系、ロンブーの淳に顔が似てる。坊主頭時代の明石家さんまにも通じる、やっぱり鳥ガラ系なのだな。そして、演技は『カックラキン大放送』っぽいバラエティー発声。千鳥の大悟っぽい喋り。マチャアキの奥さんに檀ふみ。かーいー。マチャアキより身体が大きくて「あんなでかい女いやじゃ」とか言われる。何を言うか、可愛くてたまらん。後に「檀さんはコーヒーです」と言われるが、この頃はまだミルクっぽい。あー、乳の一つも見せてほしい(そりゃあ見せないだろう)。
マチャアキが檀ふみを田舎に捨てて、ツテのない中、東京に料理人修行に乗りだすまでが一回目。
◆『切腹』神保町シアター
五つ星評価で【★★★★★すげーなー。目を見張るわあ】
1962年、白黒、134分、2回目。小林正樹監督。
特集「松竹映画100周年 監督至上主義の映画史」の1プログラム。
また仲代達矢だ。仲代達矢すげーな。素人目には『人斬り』の冷血漢と大きく変わらない演技に見えるのだが、そのちょっとした差の中に喜怒哀楽の感情が乗って凄く人間らしい。何となく、剣や技の見切りの紙一重をずっと見せつけられてるみたい。ただ殺陣でのあのエックス防御、あれはよく分からん。ただ、現実の刀剣あい乱れる戦場ではアレが効くのだと言われればそうなのかもなあとか思ってしまうくらい、仲代達矢を信用してしまうのだけど。この映画の殺陣で、とても上手い事をやり抜けてるなと思うのは、決定的な場面を見せていない所である。
・竹光での切腹の際の介錯。
・仲代達矢と丹波哲郎の鍔迫り合いからの髷切断。
・仲代達矢が侍を斬り始める最初の一斬。
・仲代達矢が自分の腹に刀を突き立てた後、介錯替わりの銃撃。
これらの決定的な場面は画面に映らない。物語の流れや、別室にいて聞こえる音や、人物の表情の動きで分かる。そして、勿論、現実に見えてない物が一番効果的に脳裏に残るのだ。魔的な演出てある。
丹波哲郎、本人はいろいろ迂闊な部分は数多くあれども、普通に善人なのだと思うのだけど、この映画の丹波哲郎はイヤな奴。仲代達矢のあばら家にやって来た時の、自分より弱い立場の者に対する侮蔑が匂ってくるようで凄い。そして、丹波哲郎が親玉で、子分も沢山いて、集団で個人の非をなじって来るのだ。そういう意味では井伊家屋敷の庭先で若者の自決を責めたてる際、誰一人の異論も挟めない様は、どう見ても、今のイジメ構造に繋がってるとしか見えない。日本って一番の人間が決めたルールは鉄の掟であって、それをひっくり返す事など出来はしないのだ。あの丹波哲郎が仲代達矢と剣を交え、徐々に焦りを身体の節々に表わせていくのはとても演技に見えない。
そして峰岸徹に見える三国連太郎。うわ、そうか、あれ、三国連太郎か。峰岸徹かと思ったよというくらい、私自身の中には三国連太郎は重い、峰岸徹は軽いというイメージが培われている。自分が世の「苛立たしさ」の為に行ってしまった判断に、後から追い込まれる男、とても三国連太郎には見えない。峰岸徹チックである(両方に失礼だよ、俺)。小者は失策を取り消せない。取り消せないまま、小さな火は大きな炎へと成長していき、屋敷を舐め回して行くのだ。最後まで逡巡しながらも、汚い手段でしか場を収める事が出来ない。それが日本人。という呪詛を見るようである。仲代達矢のようにありたいという思いを持ちながら、あまりにも日本人の大半は峰岸徹=三国連太郎のように生きがちである。あの最後の寂しい姿、勝ちを収めて負け切った姿がまるで自分等のように見えるので、この映画は刺さる。
武満徹の音楽も悪夢のようで気持ち悪くて良し。
【銭】
『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』:均一料金1300円
『天皇の料理番 第一回』:一般入場料金1200円-会員割引400円。
『切腹』:有料入場ポイントカード5回分により無料入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン@ぴあ映画生活
・《『天皇の料理番』第一回 カツレツと二百三高地》@ぴあ映画生活
・切腹@ぴあ映画生活
▼関連記事。
・デート・ア・バレット デッド・オア・バレット(前編にあたる)@死屍累々映画日記・第二章
・デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン(後編にあたる)@死屍累々映画日記・第二章
・切腹(同一原作の映画化)@死屍累々映画日記・第二章
・一命(同一原作の映画化)@死屍累々映画日記・第二章
とは言うものの一本目は30分、2本目は47分だ。
◆『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』EJアニメシアター新宿

▲主人公(左)とクイーン(右)。クイーンと言ってもフレディ・マーキュリーとは関係ない。
五つ星評価で【★★これはヒドい】
まずオープニングはゲロかっけー。それは認めよう。
前作と合わせて1時間だが、1時間の内容はない。
バックボーン(ゲームか?)を知らないと言うのはあるにしても、殺し合いの末にラストに生き残った一人が何でも可能な褒賞を与えられるという『ハイランダー』設定が一切勘案されないラストはいったい何なのか? 話は何を求めてどこに行こうとしているのか一切分からない。説明しろよ。それは物語形式の作品に金を払った観客に向けての誠意だろう。クイーンを自称するキャラクターは主人公同様オッド・アイだが、別にそこに理由はないらしい。クイーンは他者の姿を借りたり、借りた他者本体の姿を小動物に変えたりも出来るが、それ以外にも別の能力が使えるかなどの強さの制約が見えない。それって戦闘アニメであるにも関わらず、それぞれの強さが曖昧だという事だからダメダメである。主人公とクイーン以外は倒されるべきザコキャラなので、見た目(装具や武器)以上の強さは持っていないが、そもそも主人公の強さが説明できないくらい未知数なのだ。
◆『天皇の料理番 第一回』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★★のほほんと見れる。テレビドラマだからかな】
特集「森崎東党宣言!」の1プログラム。
1980年、カラー、47分、テレビドラマ、初見。森崎東監督。
配役表に千葉繁発見。「小坊主1」ほぼ話さない役なので、往年のキレ芸は勿論なし(無言でキレる場面はある)。若い頃の声優が役者として小さな役をあてられて、自分の声をほぼほぼ出せずに終わってしまったのは他に広川太一郎の『男はつらいよ』とか池田秀一の『獄門島』がある。千葉繁、顔が分からん。っつか、あの人は『紅い眼鏡』という主演映画があるのだったな。
さて、主演は堺正章ことマチャアキ。日露戦争開戦前夜の時代で、村一番のアホウ役。おー、鳥ガラ系、ロンブーの淳に顔が似てる。坊主頭時代の明石家さんまにも通じる、やっぱり鳥ガラ系なのだな。そして、演技は『カックラキン大放送』っぽいバラエティー発声。千鳥の大悟っぽい喋り。マチャアキの奥さんに檀ふみ。かーいー。マチャアキより身体が大きくて「あんなでかい女いやじゃ」とか言われる。何を言うか、可愛くてたまらん。後に「檀さんはコーヒーです」と言われるが、この頃はまだミルクっぽい。あー、乳の一つも見せてほしい(そりゃあ見せないだろう)。
マチャアキが檀ふみを田舎に捨てて、ツテのない中、東京に料理人修行に乗りだすまでが一回目。
◆『切腹』神保町シアター
五つ星評価で【★★★★★すげーなー。目を見張るわあ】
1962年、白黒、134分、2回目。小林正樹監督。
特集「松竹映画100周年 監督至上主義の映画史」の1プログラム。
また仲代達矢だ。仲代達矢すげーな。素人目には『人斬り』の冷血漢と大きく変わらない演技に見えるのだが、そのちょっとした差の中に喜怒哀楽の感情が乗って凄く人間らしい。何となく、剣や技の見切りの紙一重をずっと見せつけられてるみたい。ただ殺陣でのあのエックス防御、あれはよく分からん。ただ、現実の刀剣あい乱れる戦場ではアレが効くのだと言われればそうなのかもなあとか思ってしまうくらい、仲代達矢を信用してしまうのだけど。この映画の殺陣で、とても上手い事をやり抜けてるなと思うのは、決定的な場面を見せていない所である。
・竹光での切腹の際の介錯。
・仲代達矢と丹波哲郎の鍔迫り合いからの髷切断。
・仲代達矢が侍を斬り始める最初の一斬。
・仲代達矢が自分の腹に刀を突き立てた後、介錯替わりの銃撃。
これらの決定的な場面は画面に映らない。物語の流れや、別室にいて聞こえる音や、人物の表情の動きで分かる。そして、勿論、現実に見えてない物が一番効果的に脳裏に残るのだ。魔的な演出てある。
丹波哲郎、本人はいろいろ迂闊な部分は数多くあれども、普通に善人なのだと思うのだけど、この映画の丹波哲郎はイヤな奴。仲代達矢のあばら家にやって来た時の、自分より弱い立場の者に対する侮蔑が匂ってくるようで凄い。そして、丹波哲郎が親玉で、子分も沢山いて、集団で個人の非をなじって来るのだ。そういう意味では井伊家屋敷の庭先で若者の自決を責めたてる際、誰一人の異論も挟めない様は、どう見ても、今のイジメ構造に繋がってるとしか見えない。日本って一番の人間が決めたルールは鉄の掟であって、それをひっくり返す事など出来はしないのだ。あの丹波哲郎が仲代達矢と剣を交え、徐々に焦りを身体の節々に表わせていくのはとても演技に見えない。
そして峰岸徹に見える三国連太郎。うわ、そうか、あれ、三国連太郎か。峰岸徹かと思ったよというくらい、私自身の中には三国連太郎は重い、峰岸徹は軽いというイメージが培われている。自分が世の「苛立たしさ」の為に行ってしまった判断に、後から追い込まれる男、とても三国連太郎には見えない。峰岸徹チックである(両方に失礼だよ、俺)。小者は失策を取り消せない。取り消せないまま、小さな火は大きな炎へと成長していき、屋敷を舐め回して行くのだ。最後まで逡巡しながらも、汚い手段でしか場を収める事が出来ない。それが日本人。という呪詛を見るようである。仲代達矢のようにありたいという思いを持ちながら、あまりにも日本人の大半は峰岸徹=三国連太郎のように生きがちである。あの最後の寂しい姿、勝ちを収めて負け切った姿がまるで自分等のように見えるので、この映画は刺さる。
武満徹の音楽も悪夢のようで気持ち悪くて良し。
【銭】
『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』:均一料金1300円
『天皇の料理番 第一回』:一般入場料金1200円-会員割引400円。
『切腹』:有料入場ポイントカード5回分により無料入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン@ぴあ映画生活
・《『天皇の料理番』第一回 カツレツと二百三高地》@ぴあ映画生活
・切腹@ぴあ映画生活
▼関連記事。
・デート・ア・バレット デッド・オア・バレット(前編にあたる)@死屍累々映画日記・第二章
・デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン(後編にあたる)@死屍累々映画日記・第二章
・切腹(同一原作の映画化)@死屍累々映画日記・第二章
・一命(同一原作の映画化)@死屍累々映画日記・第二章
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