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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『なみだ川』神保町シアター

特集「映画監督・三隅研次と女優たち」の1プログラム。

◆『なみだ川』神保町シアター
五つ星評価で【★★★★あの、いい人馬鹿】
1967年、カラー、79分、初見。三隅研次監督。
「スミス研二」たあアメリカンだね。違う違う「三隅研次」だよ。

私、藤村志保はどちらかというと苦手。美人でなく、可愛子ちゃんでもなく、ただひたすら貧乏や可哀想な境遇が似合うその風貌は出来れば避けて通りたい。できることなら貰い泣きとかするのを「よし」としない。毅然としていたいのである。と言う儚い望みも何のその、この映画の藤村志保は200%バリバリのいい人馬鹿。「いい人」が過ぎて、社会生活を成しえないほどの「馬鹿」。姉、藤村志保が妹、若柳菊の縁談をまとめる為に奔走する。そこには不詳の兄、戸浦六宏が巨大な障壁として待ち構えている。この戸浦六宏の証文まで書いて金をせびっておきながら「あんなものは嘘だ」とヌケヌケと言う凄まじいダメ人間ぶりと、藤村志保の凄まじい「いい人馬鹿」のぶつかり合いがこの映画の白眉、見所。ラスト、この二人の睨みあいで明らかに「行くか」「行ったれ」みたいな目で人を殺すような「間合い」があってクラクラさせられる。その「一念」の凄さよ。

その、藤村志保が隠れて惚れながら、妹の為に自分の恋路を諦めようとする色男役に細川俊之。ジェットストリーム感漂う。いやあ、髷を結っても細川俊之、ヨーロッパっぽい。美形美男子があふれ出て波打って凄い事になってる。現代的な顔立ちだけど、邪魔になってない。このギリシャ彫刻みたいな顔立ちと戸浦六宏の「へのへのもへじ」みたいな平面な顔が同じスクリーンに存在するのが凄い。

そして、長唄の師匠、藤村志保に戸浦六宏との手切れ金を渡す代わりに、二号にしようとする金だけは持ってる男、神田隆。あんた、いつも通りでいいわ。なんて安定路線。神田隆にしてみれば、頼まれたから金を出す。金を出しているのにそれを反故にしろと言われて、頭に血が登って「そんなのはダメに決まってるだろう」と怒鳴りつける。いやー、気持ちがいいくらい小さい男。でも、どう考えても、藤村志保より神田隆の方が美しくはないが正しいのだ。それでもおそらく、一番、この映画でババ引いてしまうのは神田隆に違いない(ババ引く所までは描かれていない)。だって、神田隆なんだもん。

あーいろいろ面白かった。
ちなみに題名が『なみだ川』だが、川は出て出てこない。


【銭】
神保町シアター一般料金1300円
▼作品詳細などはこちらでいいかな
なみだ川@ぴあ映画生活
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