◆『美しき誘惑-現代の「画皮」-』ユナイテッドシネマ豊洲5

▲花を背負うには性格悪すぎる(素の性格は知らんけど)。
五つ星評価で【★今回マジでキツい】
久し振りの完全完膚なきお一人様での鑑賞。
いやいやいやいや、ちょっとビックリするくらいつまらなかった。
物語が冒頭、悪女側から描かれていくのだけど、この悪女が単にイヤな女に見えるだけで間違えても好きになれない。これは作りが違うと思う。とても最低最悪な女がただ一度の改心の機会に涙を流したという物語だが、悪女に魅力がないのでただ見ているだけで、とても疲労が募る。あまり、人は関心のない物や嫌いな物をずっと見続けている事が出来ないのだ。虫が嫌いな人がスクリーンに映る虫をずっと見てるのは苦痛でしょ。この主人公の悪女は美人タイプではあるが、可愛くはない。そして、九尾の狐の化身らしく、周りの人間を不幸にしたり、自分の思うような方向に物事が進んだりすると「ニヤッ」と邪悪な微笑みを浮かべる。この顔が歪んでいて醜い。人はメンタル込みで登場人物に感情移入するのだ。こんな悪意をバリバリ振り撒くだけの女が好きになれる訳がない。大川隆法先生は宗教家だから、そういう欠落の強い魔性みたいな方が攻略し甲斐があるとか、普通とは違うのかもしれないが、それを普通の人に強要して見せてはいけない。いや、つまらない物をニコニコして見ると言う修行なのか。映画見ながら修行はやだなあ。
なので、単純に有村架純みたいなイヤミの無い可愛い子、出来れば恋人よりも娘にしたくなるようなおぼこい子を起用すればよかった。それじゃ悪女にならないだろうって。ならないなら、ならないで良し。本人にその気がなくても、九尾の狐の生まれ変わりの運命が周囲を不幸にしてしまうみたいな設定にすればいい。どうにでもやりようはある、やってないだけで。
前半から中盤までが、この悪女が如何にして最高の男を品定めして、その彼を物にするかという話で、銀座の女という設定だが、バブル時代のキャバ嬢兼一部上場OLの成り上がり一代記みたいな物で新味がなく、ここもつまらない。
最終的にラストは結婚式の席で次期総理大臣を嘱望される若い国会議員から
「君は九尾の狐だから結婚できない!」
「恥を書かせたなー(狐オーラ全開)」
という意表を突きまくりの乱闘シーンになる。
まあ、タイタニックが氷山にぶつかる前段が長いのと一緒で、基本、ここからだけでよかった。この先20分くらいしかないけど。
ちなみに、悪女が選んだ総理大臣候補の若い国会議員は、よりにもよって空海(だと問題があるのか海空)和尚が守護霊に付いてるらしい。よりによって、ナンバーワンだからって、そんな自分を退治しそうな要素を持つ相手を選ばんでも。但し、この国会議員が大川隆法のメタ伝記映画に出てくるような、正論だけで人間的に面白いと思えない奴(傾向として勉強野郎)なので、こっちが主役でもそこそこ退屈だったと思う。
ともかく、ラストになって二人は対決する。
男はいつの間にか僧侶ルックス、女は激怒でウェディングドレス引きちぎったので単に白いワンピースみたいになってる。この対決の、と言うよりCGは全体ショボイ。九尾の狐は、ルックスが狐で、狐ってそんなに恐怖感を煽るデザインじゃない。ちなみに『ガンバの冒険』に出てた黒ギツネのザクリの方が数倍怖かった。あと、狐のCGの前で人間が狐オーラ出してるようにアクション演技をするのだが、この振り演技が大振りで下手、まあ、素人だから仕方なかろう。

▲ラスト、いきなり僧形に変身(守護霊の具現化かもしれん)する未来の総理大臣候補。この流れはラスト、いきなりヅラを取って主人公が戦いに挑む『ガッツ・フィスト 魔宮拳』を思わせる。
大川隆法氏が魂を込めて作っているであろうと思われる珠玉の作詞・作曲も挿入曲が多すぎてちょっと疲れる。こういうのは一曲ドンと大事な時にかかるから印象に残るのだけど、何回も似た曲調の曲が続くと「あーやっぱり、作詞作曲もあまり上手くない」というのが伝わってきてしまう。
モロ師岡さん、銀行の副頭取役。あんなに貧乏人が上手い人に金持ち演じさせるかね。貧乏人の役は映画内にないけどね。
コント赤信号小宮、いい会社の部長さん。そんな偉くは勿論、見えない。
デビッド伊東、エイベックス的な会社のやり手社長。えーと、オーラない。

▲エイベックス的なイケイケ社長 デビッド。土建屋っぽいと言えば土建屋っぽい。
P.S. 悪女が肩トントン叩くと叩かれた方が精気みんな吸われちゃう描写はよかった(そこだけかよ!)。
P.S.2 大川隆法氏の歌の歌詞に「ムチムチの~」という普段、聞けないような形容詞が入るのが何か独特で凄い。
P.S.3 私、基本的にそんなに幸福の科学の映画って嫌いじゃない。それは、いつもいつでもとっても隙の多い映画だからだ。正義や愛や高潔を歌いながら、本当にそれが理想なのかみたいな雑な作りになっているのがたまらない。とは言え、又、只の券を貰ったら見に行ってしまうんだろうなあ。
◆『三つ首塔』神保町シアター
五つ星評価で【★★金田一さん、千恵蔵が演じてるからって拳銃撃っちゃダメだよ】
特集「没後40年 横溝正史 銀幕の金田一耕助」の1プログラム。
1956年、白黒、88分、二回目。
片岡千恵蔵が多羅尾伴内風に演じる金田一耕助。顔でかい。
相手が悪い奴でも、私立探偵なんだから、銃は撃っちゃいかんよ。
片岡千恵蔵がハードボイルドな金田一耕助を演じるのだが、異議が続出する遺産相続、AさんがBさん、BさんがCさんを真似る、など割りと横溝正史テイストが話に残ってる。
【銭】
『美しき誘惑-現代の「画皮」-』:知り合いの知り合いから券をもらった。
『三つ首塔』:一般1300円。
各作品、映画ファン感謝デーで1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・美しき誘惑-現代の「画皮」-@ぴあ映画生活
・三つ首塔@ぴあ映画生活
ぴあ映画生活
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