
▲かんちゃん(左)可愛い。男の子かと思ったら女の子だった。仮にちんちん付いてても可愛いぞ(小さい頃の神木隆之介みたいな可愛さだった)。
※ 多少、ネタバレ気味かもしれません。
五つ星評価で【★★★気持ちは分かるが説明に今一つ付いていけてない】
震災から10年目二つの殺人事件が起き、その捜査に阿部寛と林遣都が駆けずり回る。
犬部はどうした林遣都!というくらい犬は一匹も出てこない。犬が出たら話がブレそうな気がするからしょうがない。
阿部寛が出てきた途端、何とも言えない塞ぎ込んだ顔で、うわ年取ったと驚かされる。でも目が離せない可哀想な顔である。大体、刑事コンビは若手のイケイケに年寄りの思慮深い人情派がセオリーだが、若手の林遣都はサラリーマンチックでそこそこ惰性的で、年老いた阿部寛は人情派ではあるが、それ以前に妙に変人で偏屈だ。何か最初のギクシャクぶりが楽しい。
捜査するのはこの二人とオマケに上司の鶴見辰吾。鶴見辰吾、確か『マスカレード・ナイト』にも出てた。無条件に警察上層部が似合う顔になってしまった。お前なんか金八で杉田かおるを妊娠させたくせに!(そんな事言っちゃいかん俺)
殺人される恨みを抱かせる側が三人、この三人がやった事は法的には合法だが、道理的にはグレーというもの。どちらかと言うと普段「善人」や「被害者」を演じているイメージの強い「吉岡秀隆、永山瑛太、緒方直人」の演技のバランスの上手さよ。どんなに正しい事をやろうとしても零れてしまう事はある。特に基本的にはいい人であるんだろうけど、つい簡単な方に舵を向けてしまった永山瑛太の「ほとばしる適当さ」には拍手を送りたい。ただ、彼等のやった事と、その正当化は映画的には説明が上手くなく、分かりづらかった。そこが、この映画の一番の弱点だろう。
殺人する恨みを抱いてしまう側が三人。この三人の関係性が過去パートとしてじっくり描かれるので観客は彼等に同情せざるを得なくなる。この三人はそれぞれの事情により、避難所生活においてもはみ出していた一匹狼で、彼等が生きる為に肩を寄せ合った災害の大きさも胸を締め付けるほど描かれる。倍賞美津子の無限に温かい感じ。佐藤健の不器用な生き方、石井心咲ちゃんかーいーなどなど。この三人と同じ境遇にいた阿部寛との自分の存在を確認するかのようなぶつかり合いも良い(但し、阿部寛と倍賞美津子は絡まない)。
物語としては舌ったらずで、言いきれていない所はあるものの、これが言いたいんだという部分は伝わってくる。そして、瀬々監督は一人一人要所要所役者のいい演技をちゃんと引きだす。
今回、出番が少ないが良かったのは出る場面出る場面ヒスを起こす波岡一喜、小役人の弱さ全開の黒田大輔、物語の核心にいるのに周りの人間の優しさで物語を知らされる事がない西田尚美、別に他の演技は出来ないだろうが本当に悪い奴にしか見えない千原せいじ。
番外として、両者ともいつも同じ事をやってるのにチラシに名前が載る三宅裕司と名前が載らない諏訪太郎。
もちろん、『おかえりモネ』こと清原果耶も良かった。震災に苦しめられてばっかである。
yukarinさんの所にコメント付けにいって気が付いた。総理大臣が「自助、共助、公助」と言ってしまう。これがこの映画の問題の核心です。
【銭】
前回入場時に手渡されたサービス割引券で1300円で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・護られなかった者たちへ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
・護られなかった者たちへ@風に吹かれて
・護られなかった者たちへ@yukarinの映画鑑賞日記α
PS もう一つ。
題材が震災から始まると言う事もあり、避難所生活を送る三人の組み合わせ(老女、跳ねっ帰り、幼女)が『岬のマヨイガ』に似てる。救いがなかったため、リアルに恐ろしい話になったのが『護られなかった者たちへ』であり、スピリチュアルによるファンタジーとして締めくくったのが『岬のマヨイガ』である。もっとも過酷な解釈は餓死する人物が夢見たスピリチュアルな妄想こそが『岬のマヨイガ』である、と言う事になるかもしれない。