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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『よだかの片想い(ネタバレ)』シネ・リーブル池袋2

◆『よだかの片想い』シネ・リーブル池袋2

▲終電ギリギリの彼女の腕を掴んで駅に走り出す。こんなん恋するやろ。

※ この記事はネタバレ内容を含みます。

五つ星評価で【★★★性癖的にコンプレックス強い女性には萌える】
顔に痣のある女性の遅い初恋を描く。
主演の松井玲奈が凄く良い。儚げにまっすぐ立って、常に自分に自問自答している。彼女は自分の痣についてコンプレックスを持ってはいるが、彼女が負担に思って苦しめられているのは肉体的なハンデではなく、社会的に与えられた後天的な序列についてだ。ここで複雑なのは、苦しめている側が彼女に対して「気遣う」事が、彼女の特殊性を際立ててしまう点だ。そこに悪意はないのだが、「この可哀そうな人の事を思いやってあげなくてはいけない」という過度の善意が悪意以上に彼女を傷付ける。彼女は可哀そうに思われる側であり、それが彼女を不快にはするが、善意で向けられた視線ゆえ、それを非難する訳にもいかない。
その彼女が恋をするのが、映画の企画で近づいてきた映画監督の中島歩。付き合いの長い友人等については別だが、初対面で彼女の内面を褒めるような手合は他にはいなかっただろう(そういう素地もそれまでにはなかっただろうし)。彼が彼女に最初のデートで渡すプレゼントも気が利いている。コンパクトミラーだ。逆説的に「可哀そう」とちょっとでも思ってるなら渡せないプレゼントである。世の女の子全てと同じ扱いをしてくれるプレゼントである。これは垂らされるわなあ。また、中島歩が普通にいい男なのだ。

タイトルにある「よだか」は、宮沢賢治の『よだかの星』が元で、醜い容姿から「鷹」から改名を迫られる「よだか」が命を失っても自分の名前を守る話。映画内で、「よだか」が守る物は命を失っても変えられない物であると二人の会話で話される。「本質性」と言っていいと思う。他の全てを捨てても彼が愛してくれさえすれば生きていける、これが彼女の本質性だが、彼から見た彼女は一番ではない。彼にとっての一番は仕事なのだ。ここでタイトルの恋は終わりを遂げるが、新しい恋の兆しもちょっと見せられる。相手は映画監督以上に似た者同士なので、観客があまり悪い予感を感じる事はない。

ラスト、エロくてセクシーなサンバの衣装で新しい男を誘惑するカットが入っても、全然許すぞ、オレは。


【銭】
テアトルの会員割引で1300円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
よだかの片想い@映画.com
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よだかの片想い

生まれつき顔の左側にアザがある理系女子大学院生・前田アイコは、恋や遊びには消極的で研究一筋の生活を送っていた。 しかし、取材を受けた「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本が映画化されることになり、状況が一変。 本の映画化を切望する監督・飛坂逢太と話をするうちに、アイコは彼への恋心を募らせてゆく…。 ラブストーリー。

  • 2022/10/05(水)22:30:29 |
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