全10回だが、撮り逃した1回目と予約操作を間違えた3回目は未視聴。
骨太。
と言うか、こんな面白いコンテンツをまだまだTVで作れると言うのが「エルピス(パンドラの箱を開けて最後に残った希望)」なのかもしれない。災厄の箱に詰められた「希望」を信じていいのか、とも思うが。実は物語の中でも、希望を持つからこそ更なる絶望に組み敷かれるみたいな流れが多々出てくるので、「希望」は「希望」で厄介な存在に違いない。
オープニングタイトルで名前が上がる(集客力の強い)俳優が3名。長澤まさみ、眞栄田郷敦、鈴木亮平。
鈴木亮平そんなに出番ないなあと思っていたが、最終回での長澤まさみとの一騎打ちには痺れた。あの妥協点を見出したの凄い、凄い脚本だ。何となく、それではより大きな事件の発露をあきらめるのかとモヤモヤはするのだが、この後、作られる事のない続編で、きっと更なる争いが続けられるに違いない。そして、元々は冤罪事件の話なので、冤罪事件で終結するのは正しい。このニュースのどちらを選択するかで、ただ一人の話ではあるが、死に追いやられようとしている人を救っている。今回公表されなかったニュースは弔い合戦であり、憂さ晴らしであり、未来の死者を生まない予防的措置ではあるが、今すぐ人は救わない。未来の死者を量産しない希望として鈴木亮平が機能する。ただ、長澤まさみ自身の安全は保障はされない、ギリギリぐらぐらしたバランスを正しく保たないと発言権を奪われるか、殺されてしまう。だから、物語として勝利を得たように見えるが、小さな希望を手にした、という事なのだと思う。
長澤まさみがメインランナー。しかし、エロくないなあ。濡れ場まであるのにエロくないのは逆に凄いかも。「エロい」という規制もあるので、あれもこれもは入れなかったのかもだが。
眞栄田郷敦が補助走者だが、短距離ではメインランナーを凌ぐ活躍をする。深い濡れ場とかないけど濡れ子犬みたいなひたむきな可愛らしさがある。他者評価も自己評価も低いところがチャーミング。自分で分からない事があった時に、臆せず「他の人に聞く」と言いきれるのが、彼自身が自分で気づいていない強みだろう。このドラマの中で最も評価が上がったのが、眞栄田郷敦と岡部たかしだろう。岡部たかしなんて知らなかったけど、いい役者だ。虚々実々、表面がメチャクチャなのに、中身は正義の番犬みたいだ。ただ、正義は彼を成り上がらせてくれる為のエサという位置付けが正義の二人組とちょっとベクトル違って、話に厚みをもたらせてる。
その岡部たかしと正反対に、表面はとても紳士で優しく取り繕っているが、金と権力に弱い、多分、この物語で一番問題がある人物が三浦貴大。いいキャスティングだ。いい人そうだもの。多分、この人は眞栄田郷敦とは正反対で、虐めに加担して心を傷めても、長くは引きずらず、常に長い物に巻かれるタイプ。ただ、彼がそうだから最低と言うよりは、彼が世の中の大多数を象徴してるに過ぎない。
新聞記者の池津祥子も知らない人だが、変だけどちゃんと使えば頼りになる凄い人という正義側のアクセントとして良かった。
弁護士の六角精児は何やっても嵌る定番の人、しかし、ずっと怒っていて、正義側の一員として少し離れた所にいるのが「弁護士」らしかった。
名前分からないけど、刑事の人もニヤニヤ気持ち悪くて良かった。
そして、それを上回って気持ち悪いのが眞栄田郷敦の母役の筒井真理子。うわ、母親としていてほしくない。うざい。近さがたまらない。世の大多数の息子が「勘弁してほしい」と弱音を吐く近さがあった。
物語の中で立ち位置や考え方が変わる役者が、長澤まさみ、眞栄田郷敦、鈴木亮平、岡部たかしの4人。この4人がメインディッシュで他がサブ、味付け、調味料な役。
最終回では流れないエンドロールの料理バラエティー映像が好き。あれ見て、見たいと思ったのだ。
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