『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』ユナイテッドシネマ豊洲1(ネタバレ)
- Date
- 2023/03/08/Wed 22:23
- Category
- 映画(FC2独自レビュー)
◆『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』ユナイテッドシネマ豊洲1(ネタバレ)

▲あの伏線にはビックリ。
※ この記事はネタバレを含みます。
五つ星評価で【★★★★★ドラえもん映画10年に一本の傑作。ちゃんと前半と繋がる伏線の回収が悪魔的だあああああああ。】
まず、普通に面白い。ドキドキワクワクの冒険劇である。
そして、見終わった後に思うのである。これは、子供が見る物語として意図的に悪役の「悪」を明確に打ち出しているが、その逆にドラえもんとのびたが悪役でもおかしくはない設計だな、と。悪役が悪である理由が極めて希薄ではないだろうか?
今回の悪役、三賢人、および、その背後にいるレイ博士が悪である理由は二つ。未知の光線を使い、他人の心を本人の許可なく支配しようとした事。そして、その支配を拡大しようとした事。他人の心を支配したり、逆らえないように服従させたりするのは「悪」である。では、世間一般の「社長」は「社員」にとって「悪」なのかと言うと、そういう場合がない訳でもないが、基本的にはそうではない。「社長」は役割として「社員」の「行動≒会社内人格におけるモラル」を「支配」し、雇用というルールを根拠に「服従」を強いる。「会社での社長」にかかわらず、通常の集団組織の「長」は組織に属する各個人を支配し、服従を強いる。服従を強いた上で、その服従以上の結果を出力する。それがおおむね集団の存在理由だ。なので、これらが「悪」にならない理由は一点のみ。服従させられる各個人の同意がなされているかどうか。映画内ではこの部分がレイ博士があたかも同意形成を得ず、裏からパラダピアの人間を服従させていたかのように、表現されていたが、実は曖昧である。と言うのは、パラダピアの人間にはちゃんと意思があり、その意思はジャイアン、スネ夫、しずかが土壇場でのび太支持に回ったように、自分の不利に対して抵抗できる強さを持っているからだ。催眠術で術者が被術者に対して「死ね」と言っても死なないくらいの抵抗力はありそうだ。物語の中ではおそらくレイ博士は従属する集団に対して同意形成を得ず、服従させていた。だから、レイ博士一人を「悪」として、パラダピアを悪の秘密基地として葬ってしまう事は正義側のタイムパトロールから言わせれば問題ないに違いない。今回、ドラえもんは物語をそういう形に仕上げてきた。
だが、例えば、レイ博士が「人を支配する光線」などを使わず、言葉でパラダピアの一市民になる勧誘をし、各個人がそれを受け入れていたとしたらどうだろう。パラダピアその物には「悪」の要素はないのだ。それでも、タイム・パトロールはパラダピアの存在を認めない可能性が強い。それは、パラダピアが科学技術の結晶であり、タイム・パトロールは今まで彼等を捕まえられなかった。そして、パラダピアが正しければ正しいほど既存社会の弱者を取り込んで拡大する可能性を持っている。そうすると、既存の宗教や国家と相反するような存在になる可能性が大きい。レイ博士は正しくなければ討伐対象となり、正しければ既存勢力を脅かす敵対勢力となりえるのだ。そして、大概の為政者は上手くいっている隣の緑の芝生に対して寛容な立場を保持しきれない。
物語の中では、のび太が他の三人よりも心の耐性が強かったので、レイ博士の光線が効かないとされていたが、実はのび太は発達障害で、あのカリキュラムでは効力を発揮しなかったのかもしれない。逆に他の三人はそれぞれの個性を捨てたなど悪しざまに言われていたが、彼らは他の誰よりも早く大人になったのかもしれない。エッヂを失い、殊更に鈍くなったように見えなくもない。でも、大人になるというのはそういう事だ。
みたいな事をつらつら考えてしまったのもまた、面白かった。
【銭】
会員ポイント2ポイントを使って1000円で鑑賞。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
・映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)@映画.com

▲あの伏線にはビックリ。
※ この記事はネタバレを含みます。
五つ星評価で【★★★★★ドラえもん映画10年に一本の傑作。ちゃんと前半と繋がる伏線の回収が悪魔的だあああああああ。】
まず、普通に面白い。ドキドキワクワクの冒険劇である。
そして、見終わった後に思うのである。これは、子供が見る物語として意図的に悪役の「悪」を明確に打ち出しているが、その逆にドラえもんとのびたが悪役でもおかしくはない設計だな、と。悪役が悪である理由が極めて希薄ではないだろうか?
今回の悪役、三賢人、および、その背後にいるレイ博士が悪である理由は二つ。未知の光線を使い、他人の心を本人の許可なく支配しようとした事。そして、その支配を拡大しようとした事。他人の心を支配したり、逆らえないように服従させたりするのは「悪」である。では、世間一般の「社長」は「社員」にとって「悪」なのかと言うと、そういう場合がない訳でもないが、基本的にはそうではない。「社長」は役割として「社員」の「行動≒会社内人格におけるモラル」を「支配」し、雇用というルールを根拠に「服従」を強いる。「会社での社長」にかかわらず、通常の集団組織の「長」は組織に属する各個人を支配し、服従を強いる。服従を強いた上で、その服従以上の結果を出力する。それがおおむね集団の存在理由だ。なので、これらが「悪」にならない理由は一点のみ。服従させられる各個人の同意がなされているかどうか。映画内ではこの部分がレイ博士があたかも同意形成を得ず、裏からパラダピアの人間を服従させていたかのように、表現されていたが、実は曖昧である。と言うのは、パラダピアの人間にはちゃんと意思があり、その意思はジャイアン、スネ夫、しずかが土壇場でのび太支持に回ったように、自分の不利に対して抵抗できる強さを持っているからだ。催眠術で術者が被術者に対して「死ね」と言っても死なないくらいの抵抗力はありそうだ。物語の中ではおそらくレイ博士は従属する集団に対して同意形成を得ず、服従させていた。だから、レイ博士一人を「悪」として、パラダピアを悪の秘密基地として葬ってしまう事は正義側のタイムパトロールから言わせれば問題ないに違いない。今回、ドラえもんは物語をそういう形に仕上げてきた。
だが、例えば、レイ博士が「人を支配する光線」などを使わず、言葉でパラダピアの一市民になる勧誘をし、各個人がそれを受け入れていたとしたらどうだろう。パラダピアその物には「悪」の要素はないのだ。それでも、タイム・パトロールはパラダピアの存在を認めない可能性が強い。それは、パラダピアが科学技術の結晶であり、タイム・パトロールは今まで彼等を捕まえられなかった。そして、パラダピアが正しければ正しいほど既存社会の弱者を取り込んで拡大する可能性を持っている。そうすると、既存の宗教や国家と相反するような存在になる可能性が大きい。レイ博士は正しくなければ討伐対象となり、正しければ既存勢力を脅かす敵対勢力となりえるのだ。そして、大概の為政者は上手くいっている隣の緑の芝生に対して寛容な立場を保持しきれない。
物語の中では、のび太が他の三人よりも心の耐性が強かったので、レイ博士の光線が効かないとされていたが、実はのび太は発達障害で、あのカリキュラムでは効力を発揮しなかったのかもしれない。逆に他の三人はそれぞれの個性を捨てたなど悪しざまに言われていたが、彼らは他の誰よりも早く大人になったのかもしれない。エッヂを失い、殊更に鈍くなったように見えなくもない。でも、大人になるというのはそういう事だ。
みたいな事をつらつら考えてしまったのもまた、面白かった。
【銭】
会員ポイント2ポイントを使って1000円で鑑賞。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
・映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)@映画.com
スポンサーサイト